Vol.266 『スキップ・トレース』
マスコミ試写にて『スキップ・トレース』を鑑賞。ジャッキー・チェン主演の刑事物で、監督は『クリフハンガー』のレニー・ハーリン。
香港の犯罪王のために相棒ユンを殺された刑事ベニーは、ユンの娘サマンサの後見人をしながら、犯罪王と目されるヴィクターのしっぽをつかもうとしていた。ある日、サマンサが潜入していたヴィクターのカジノで、アメリカ人詐欺師コナーはヴィクターの犯罪を目撃してしまう。ロシアンマフィアとともにロシアへ逃げたコナーを追ったベニーは、マフィアからコナーを救出し、香港を目指す。ユン殺害の黒幕であるヴィクターを追い詰めるために……。
ひと言で言えば、ハリウッドと組んだジャッキーおなじみのバディムービー。これまでにも『シャンハイ・ヌーン』や『ラッシュアワー』などの作品がありましたが、東洋人と西洋人がそのギャップでぶつかりながらも、お互いに信頼を得て、悪に立ち向かう物語です。もうこれまでの実績だけで十分、安心して観られる映画ですね。
今回ジャッキーの相棒となるのは、詐欺師のコナー。ジョニー・ノックスヴィルが演じているコナーは、人を騙しては、その場しのぎで生きているタイプ。ユンを殺されてからずっとその犯人を追い求めてきた、真面目で正義感の強いベニーとは正反対。その2人が長い道のりを同行しなくてはならなくなり……。
犯罪の証拠を持つコナーをロシアンマフィアから奪い返したベニーは、そのコナーを連れて香港へ戻ろうとするのですが、わけあって陸路を、しかもまともな交通手段ではない方法で移動することになります。その行程はロシア(シベリア)から、モンゴル、中国を経由するという壮大なジャーニー。
ロシアンマフィアに追われながら、おんぼろ車、馬、そして筏での川下りなどでの逃避行。旅の途中では、モンゴルの遊牧民と親交を深めたり、中国の辺境の奇祭が登場したりして、その土地土地ならではの風景が観られ、ロードムービーとしての楽しみもあります。
ジャッキーの映画ですから、当然のことながらアクションシーンも満載。往年のキレはないものの、その年齢を感じさせないジャッキーのアクションはさすがです。それも、いつものようにコミカルなシーンを交えながらのアクション。予告編にも登場しているこの写真のシーン。ジャッキーが持っているのがマトリョーシカですから……もう次の展開はおわかりですね?(笑)
こうしたコミカルアクションに加え、本作では派手なアクションシーンも多く登場します。最初に掲載しているターザンロープは長い峡谷超えですし、筏での急流下りは一杯一杯の、迫真の演技でした。こうしたシーンでは、レニー・ハーリン監督らしい、ダイナミックなカメラワークでその迫力を伝えてくれます。
女優陣としてはファン・ビンビンらが出演していますが、さすがに年齢的に艶っぽいシーンは少ない感じ。まあ、相棒の娘の後見人ですから、そうした関係になってしまうわけにもいかないですしね。
全体としては、楽しいジャッキーアクションが楽しめ、しかもロシア~中国へのロードムービーとしての楽しみもあり、勧善懲悪でスカッとする映画です。ジャッキーの映画が好きな人ならもう安心してみていられるのではないでしょうか。
ちなみにエンドロールでは、これまたおなじみのNGシーンを観ることができます。マトリョーシカのシーン、たいへんだったのね……と。
『スキップ・トレース』は、9月1日から全国ロードショーです。
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