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円谷英二さん撮影の幻の映画『かぐや姫』がイギリスから凱旋、上映会決定

特撮の父・円谷英二さんが撮影した映画『かぐや姫』のフィルムがイギリスで発見され、85年の時を経て日本へ里帰り。8月17日から開催される「生誕120年 円谷英二展」の中で上映会が開催されます。

・『かぐや姫』(1935年、J.O.スタヂオ、田中喜次監督、円谷英二撮影) 国立映画アーカイブ所蔵
かぐや姫

映画『かぐや姫』は1935年に公開された、J.O.スタヂオ製作による音楽映画で、「ゴジラ」や「ウルトラマン」シリーズを生み出した円谷英二さんが撮影を担当している作品。本作は長い間失われていましたが、このたびイギリスで海外向け短縮版(1936年作成)が発見され、85年振りに里帰りし、上映会が開催されることが決定しました。

・クレーンに乗る円谷英二(1934年) 国立映画アーカイブ所蔵
クレーンに乗る円谷英二(1934年) 国立映画アーカイブ所蔵

●イギリスへの輸出、そしてそのフィルムを再発見
今回発見されたフィルムは、1936年に英国人や現地邦人向けの上映会をロンドン日本協会(ジャパン・ソサエティ)が企画し、相談を受けた外務省が、外郭団体の国際映画協会に作品選定を委嘱し、輸出フィルムとして『かぐや姫』が選ばれ、海を渡ったもの。

この際、国際映画協会が監修し、冒頭に英語字幕による解説を付した短縮版が作成されました。

この『かぐや姫』[短縮版]の可燃性ポジフィルムが現存していると、2015年5月 ロンドン在住の映画史研究家ロジャー・メイシー氏から英国映画協会(British Film Institute、BFI)に情報が寄せられ、国立映画アーカイブ研究員がBFIの保存センターで現物調査を実施した結果、1936年11月に作成された『かぐや姫』[短縮版]であることが明らかになります。

その後、6年にわたるBFIとの収集交渉を経て、『かぐや姫』[短縮版]を不燃化したフィルムの里帰りが実現、今回の上映会開催が決定しました。

●生誕120年 円谷英二展&『かぐや姫』[短縮版]上映会
・生誕120年 円谷英二展
会場:国立映画アーカイブ 展示室(7階)
会期:8月17日~11月23日
開室時間:11:00~18:30(入室は18時まで)
毎月末金曜日は11:00~20:00(入室は19:30まで)
観覧料:一般250円/大学生130円/65歳以上・高校生以下及び18歳未満、障害者(付添者は原則1名まで)、国立映画アーカイブのキャンパスメンバーズは無料

生誕120年 円谷英二展

・『かぐや姫』[短縮版]上映会
日時:9月4日(土)、5日(日)
会場:国立映画アーカイブ小ホール(地下1階)
詳細は決まり次第、国立映画アーカイブ公式サイト内で告知されます。

●『かぐや姫』
製作・配給:J.O.スタヂオ
オリジナル版日本公開:1935年11月11日(京都宝塚劇場)、11月21日(日本劇場)
オリジナル版上映時間:75分(9巻、2051m)[短縮版]:国際映画協会の監修により1936年作成、上映時間:33分(3巻、908m)
※冒頭の英語字幕による解説には新たに日本語字幕を付しています。

脚色:J.O.企画部
監督:田中喜次
撮影:円谷英二
考証並美術監督:松岡映丘
作曲並音楽監督:宮城道雄
台詞並演技監督:青柳信夫
主題歌作詞:西條八十
ミニチュア制作・撮影:政岡憲三
アニメーション用の牛及び牛飼い人形(石膏像)制作:浅野孟府

出演:北澤かず子(かぐや姫)、藤山一郎(造麿)、徳山璉(太麿)、汐見洋(竹取翁)、東日出子(竹取嫗)、横尾泥海男(宰相阿部)、藤輪欣司(細身)、下田猛(陰陽師)、上田吉二郎(造麿の従者)

国立映画アーカイブ:https://www.nfaj.go.jp/

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