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Vol.49 『G.I.ジョー』

G.I.ジョー丸の内ルーブルにて『G.I.ジョー』の完成披露試写を鑑賞。アメリカのフィギュアメーカー・ハズブロ社のフィギュアを元にした映画。40代以上の男性であれば、だいたい知っているのではないでしょうか。
ということでなんの前知識も入れずに観に行ったのですが……G.I.ジョーだったら戦争映画じゃないの?とちょっと驚き。私が知っているG.I.ジョーはベトナム戦争時のアメリカ兵をモチーフにしたアクションフィギュアでしたが、その後、正義の味方シリーズとしてサイボーグになってたんですね。今回の映画はそれが下敷きになっている近未来SFアクション映画で、『X-MEN』のようなアメコミヒーロー映画になっていました。


内容としては、フィギュアの裏設定と思われるキャラクター紹介をつなぎ合わせながら、NATOの新兵器であるロケット弾頭をめぐり、悪の組織コブラと機密部隊G.I.ジョーの戦いをVFXたっぷりの映像で描いています。
しかし、このVFXがちょっといただけない。CG全盛の時代というのはわかりますが、実写部分との差がはっきりわかります。CGが浮いてしまっている分、当然現実味が薄れるので画面に入り込めない。コブラの秘密基地などは家庭用ゲーム機の映像か?という感じでした。『ハムナプトラ』の監督が『トランスフォーマー』の製作陣と組んで作ったにしてはちょっと……。アクションは悪くないのですが、CGが浮いているためにハラハラ感などがなく残念な感じ。
登場人物の掘り下げは過去の話をうまくまじえながら紹介しているので、敵味方、それぞれのキャラクターについてうまく描けていると思います。フィギュア好きの人にはこれだけでも観る価値があるんでしょうね。
ただ、スネークアイズとストームシャドーがいかにしてライバルとなっていくのかを描いた過去の下りは、つっこみどころ満載の日本が登場。外国映画によくありがちな、これのどこが日本だよ!という映像が出てくると。以前は、またこんな日本が出てきたと笑ってましたが、最近、これは日本が国際的にきちんと認識されていない証拠であり、作った側ではなく日本の問題でもあるんじゃないかという気がしてきました。
この映画でもパリのシーンなどが登場しますが、アメリカ映画でヨーロッパが舞台だときちんとロケをして現地で撮影しますよね。でも日本が舞台になっても日本でロケが行われなかったり、中国や韓国とごっちゃになっているセットが使われたりします。ビジットジャパンキャンペーンなど、外国人旅行者を増やそうという動きを国としてやるのであれば、その前に日本という国がどういう国なのかをきちんと理解させる努力をするべきなんじゃないでしょうか。
新宿のゴールデン街のような裏通りに、横書きの看板が縦に貼られてたり、その向こう側にどうみても日本のものではない寺が建っていたり、その寺の中で少林寺拳法のような武術を教えていたり、あげくにそこの出身とされているスネークアイズとストームシャドーが日本刀に似せたまっすぐな刀と手裏剣で戦う忍者もどきになっていたり……。外国人の日本観ってこういうものなんでしょうね。悲しい気分になります。
このスネークアイズを演じているのは『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』でダースモールを演じたレイ・パーク。といっても最初から最後までマスクをつけているので顔はわかりません(^_^;)
ライバルであるストームシャドーは韓国俳優のイ・ビョンホンが演じています。公式サイトにあるメインビジュアルをみると、白いコスチュームのイ・ビョンホンの組織が上になっていて、こっちのほうが正義みたいですけど、主役は下のチーム。悪の組織のほうが上に描かれているのがどういう狙いがあるのかわからないなぁ。こういうケースは初めてみた気がします。
G.I.ジョーフィギュアが好きな人はもちろんだと思いますが、アメコミ映画が好きな人、アクション映画が好きでCGの映像が気にならない人ならというところでしょうか。
『G.I.ジョー』は8月7日、日米同時公開です。
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