Vol.239 『風と共に去りぬ』
前回観賞映画振り返りコラムを書いてから1年半近く経ってしまいました。75回目は1982年に観た『風と共に去りぬ』。旧丸ノ内ピカデリーでのリバイバル上映で鑑賞。
大地主の娘スカーレットは幼馴染みのアシュレーに想いを寄せていたが、彼は従姉妹のメラニーの恋人であった。2人の婚約を聞いたスカーレットはアシュレーに気持ちを伝えるが玉砕。やけになった彼女はメラニーの兄チャールズからのプロポーズを受け入れるのだった……。
あらすじはほんのとっかかりです。話は、あまり評判のよくないレット・バトラーとの出会い、この頃起こった南北戦争で病に倒れたチャールズの死、北軍に蹂躙される故郷、そして終戦へと続いていきます。
その後、スカーレットはお金のために妹の婚約者フランクと結婚、そして死別、レットと結婚、娘を出産、事故死……。まあ、これでもかと言わんばかりのスカーレットの山あり谷ありの人生が描かれていきます。
この作品は不朽の名作と言われるだけあって、見応えのある人間ドラマになっていますが、気性の荒い、奔放な性格のスカーレットをどう感じるかによって評価が分かれるのではないでしょうか。決して家族を飢えさせないと誓う前編のラストや、土地を守るために愛のない結婚をするスカーレットの姿を、たくましいと感じるかどうかですかね。
出会いの印象はあまりよくなかったレットとの関係が一つ軸として存在し、最後までそこが物語の中心となるのですが、私はその軸がぶれすぎだなと感じました。なんというか、ドラマとして盛り上げようとするあまり、たくさんの要素を詰め込みすぎ、本題に入る前にジャマな要素が多すぎた感があります。
結婚したチャールズと死別、結婚したフランクと死別、レットの間にできた娘も事故死。さらに言えばメラニーも病死するし……。南北戦争といえば日本で言えば江戸時代ですから、医療もそれほど進んでないでしょうし、寿命も短かったとは思うのですが、あまりにもスカーレットの周りで人が死にすぎ。それらがなければスカーレットの人生を描けなかったと言えば、その通りなのかも知れませんが、作られた物語というイメージがすごく強かったです。
その分、メリハリがあって、ストーリーとしては飽きずに見られるとは思いますが、テレビドラマで毎回事件が起こるような話をつなげて一気に見せようとしたような雰囲気といったらいいでしょうか。主軸にしぼって、冗長な部分をばっさり切って組み立て直せば半分くらいでなんとかなりそうな気がします。
この作品は前編後編に分かれるくらい長い映画で、休憩含めて4時間近い。前編くらいまではふむふむと思いながら観てましたが、後編に入ると、まだなんかあるの? まだ試練を与えるの?という気持ちになりました。叙事詩的な撮り方をしてる部分もあったり、テンポ自体はよくないですし……テンポについては古い映画なので仕方ない部分もありますが。今みたいに細かいカット割りではないですしね。
古いとはいつなのかというと、この作品は1939年製作なんですよね。太平洋戦争前にカラーでこのような作品が作られたことは非常に驚きです。ハリウッドが映像と分野で最先端をいく存在であることはこの頃から変わらないわけですね。
内容としてはいい作品だとは思いますし、映画が好きだという人は必ず1回は観ておかないといけない映画です。が、個人的にはたぶんもう一度観ることはないかなぁ。このテンポでの4時間はさすがに敬遠したいですね。
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