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Vol.170 『クリスタル殺人事件』

クリスタル殺人事件 デジタル・リマスター版観賞映画振り返りコラムの63回目は1981年に観た『クリスタル殺人事件』。友人と日比谷で観ました。有楽座だったか千代田劇場だったかが思い出せません。
この作品はアガサ・クリスティ原作の推理小説を映画化した作品。『オリエント急行殺人事件』『ナイル殺人事件』同様、豪華なオールスターキャストが出演。だからといって同じように『~殺人事件』という邦題にしなくてもいいのでは?という気はしました。原作の「鏡は横にひびわれて」のほうが雰囲気がありますよね。


この作品では、久々に銀幕に復帰する往年の名女優を狙ったと思われる殺人事件が舞台となります。その名女優役(原作ではグレタ・ガルボをイメージして作られた登場人物)にエリザベス・テーラー。その映画の監督役で夫にロック・ハドソン。ライバル女優にキム・ノバク、その夫(映画制作者役)にトニー・カーチス。
この4人だけでも豪華なのに、ジェラルディン・チャップリンやエドワード・フォックスらも出演。さら、後に007を演じることになるピアース・ブロスナンが脇役でスクリーンデビューを果たしています。
しかし、豪華ではあるのですが、さすがに1980年代の映画として考えるとちょっと厳しいですかねぇ。往年の名優たちが一堂に会す画は圧巻ではありますし、貫禄も感じますが、全盛期がかなり昔になっているので、これが20年前だったら……と思ってしまいます。
この作品で探偵を務めるのはポアロではなくミス・マーブルなのですが、探偵ものの推理小説なのに他のキャストに負けてしまっているというか、存在感がどうも希薄。この後「ジェシカおばさんの事件簿」でジェシカおばさん役を務めるアンジェラ・ランズベリーが演じているのですが、テーラーやノバク相手ではつらいところですね。ミス・マーブル自体が地味な役でもありますし。
話としても、オリエント急行といったエキゾチックな密室でも、壮大なエジプトを舞台にしていることもないため、どこかこぢんまりとした雰囲気が漂い、さらに、凝ったトリックがあるわけでもなく、犯人も、たぶんほとんどの人が途中でわかってしまう感じがあり、ミステリーとしてもちょっと厳しい。映画というよりTVドラマのような雰囲気といえばいいでしょうか。
なにせ登場人物が多くないので、容疑者は限られてますし、そもそも横溝正史原作の映画と同様、キャストをみたらだいたいの検討がついてしまうということもありますけどね。
クリスティ原作だったらミステリーとしてもっと映画に向いている作品があると思うのですが、なぜこれを映画化したのかが少々不思議です。テーラーとノバクの丁々発止を撮りたかったのかなぁ……というか、見どころはその点だけといってもいいかも知れません。ただし、二人の映画を観たことがない方にはなんの感慨もないと思いますが。
推理小説というよりは、映画にまつわる人々の愛と葛藤を描いた人間ドラマの中に殺人事件が出てくるものとして観るのがいいかも知れません。
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