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Vol.168 『嵐が丘』

嵐が丘観賞映画振り返りコラムの62回目は1981年に観た『嵐が丘』。日比谷みゆき座で観ました。
この作品は1939年製作のモノクロ映画。この頃、名の通った作品をテレビや名画座、はては図書館や公民館などでの上映会などで観まくっていました。そんなときにリバイバル上映されるという話を聞きつけた母がぜひ観たいというのでお供しました。原作はエミリー・ブロンテの同名小説ですが、文学作品はあまり興味がなく、この作品もウィリアム・ワイラーが監督でなければ観てなかったと思います。


ある屋敷に住むことになった少年ヒースクリフ、その屋敷の子供である息子ヒンドリー、娘キャシー。大人になり、屋敷の主人となった放蕩息子、恋愛関係にあったヒースクリフとキャシー。しかしキャシーは貴族へ憧れ、嫁いでしまう。失意のヒースクリフは屋敷を後にする。そして数年後、キャシーへの復讐を胸にヒースクリフは再びこの屋敷へ帰ってくるのだった……。
この作品への感想というのは、たぶんキャシーをどう感じるかに左右されるところが非常に大きいと思います。そしてそこには、男性の視点か女性の視点かによる違いが出てくるのではないでしょうか。一観客として男の目で観た印象は、キャシーがああいう行動をしなければ……と思ってしまうわけですが、若い女性の好奇心や興味といった観点から考えれば、女性なら共感してしまう部分もあるんじゃないかという気がします。そういう点からも、この作品を一方向からの視野だけで評価することはかなり難しい。
話の展開としてはいたってベーシックであり、現在の作品でも同様の流れを持つ作品は多い気がします。古典と呼ばれる作品は、さすがにその撮り方やテンポといったところでなじみにくいし、まどろっこしく感じてしまう部分はありますが、こうした作品が作った基礎があってこそ、今のドラマ・映画などもあるということは認識しておかないといけないですね。
さきほども書きましたがこの作品はウィリアム・ワイラー監督作品。ワイラー監督といえばスペクタクル映画というイメージが強く、派手というか、大作という映画が合うと思います。しかし後年はSF映画を撮ったりして、考えてみると様々なジャンルをこなしているんですよね。
そうした中でこの『嵐が丘』は、ワイラー作品としての広がり感はあまり感じられない(1939年当時の撮影方法では難しかったのかも)ものの、登場人物の心理描写などはやはり光るものがあります。
もちろん出演者であるローレンス・オリヴィエやマール・オヴェロン、デビッド・ニブン、ジェラルディン・フィッツジェラルドといった役者たちの演技力も影響しますが、スクリーン全体をキャンパスとして考えたときのバランスというのはさすがと言う感じです。
ただいかんせん古い映画なので、なんというか、中間色を感じないというか、陰影ばかりが印象に残った、そんなイメージでしょうか。古い映画が好きな方はそういう部分がいいという意見が多いですが、私はノスタルジーというもの自体は評価しないほうなので、どうしてもそこで評価が落ちてしまいます。新しければいいとは言いませんが。
そういった部分を含め、物語や人間描写といった部分では確かに名作という作品だと思いますが、1回観れば十分かなというのが素直な感想です。モノクロだからいい悪いではなく、やはり古すぎていま(鑑賞当時)の流れには合わないと感じました。
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