MOVIEW SNS:Bluesky Threads X Instagram YouTube

黒部進さんから娘・吉本多香美さんへ涙の手紙 桜井浩子さん、吉本さんと振り返る『ウルトラマン前夜祭』

『ウルトラマン』第1話「ウルトラ作戦第一号」の放送を翌週に控えた1966年7月10日、『ウルトラマン前夜祭 ウルトラマン誕生』が放送され、ウルトラマンが人々の前に初めてその姿を現した記念すべき「7月10日」は現在「ウルトラマンの日」として制定されています。

そのウルトラマンの日に、始まりの場所である杉並公会堂にて「ウルトラマンの日 in 杉並公会堂」が開催され、『ウルトラマン前夜祭』が上映されました。『ウルトラマン』フジ・アキコ隊員役・桜井浩子さんと、『ウルトラマンティガ』ヤナセ・レナ隊員役・吉本多香美さんが登壇。吉本さんの父で、『ウルトラマン』ハヤタ・シン隊員役・黒部進さんからの手紙も披露されました。

ウルトラマンの日 in 杉並公会堂

●スペシャル上映会 ウルトラマン前夜祭『ウルトラマン誕生』
日程:7月10日(金)
場所:杉並公会堂
ゲスト:桜井浩子、吉本多香美
MC:タカハシ ヒョウリ

・ドタバタで大混乱だったウルトラマン前夜祭
ウルトラマンティガ30周年、ウルトラマン60周年という偉大な節目を迎え、吉本さんは「ウルトラマンがあったからこそティガがある。原点の素晴らしさを堪能したい」と熱く語り、桜井さんも「いろいろあったけれど、60年経ってこの始まりの場所(杉並公会堂)にまた戻ってこられて本当に良かった」と感慨深げに語ります。

イベントでは、1966年に放送された『ウルトラマン前夜祭 ウルトラマン誕生』が上映され、白黒映像を観ながら、お二人によるコメンタリーが繰り広げられ、会場はたびたび笑いに包まれました。

その舞台裏は、現代の常識からは考えられないほどの「ドタバタ劇」の連続だったと語られます。

劇中で流れる「ウルトラマンの歌」や「科学特捜隊のテーマ」は、出演者たちもこの場で初めて聴いたと語る桜井さん。しかも歌が2番までたっぷりと流れ、曲が終わっても一向に科特隊の出撃の合図が出なかったため、業を煮やした小林昭二さん演じるムラマツ隊長が「合図はない、もう出よう!」と声をかけ、強引にステージへ飛び出したというエピソードが披露されます。

そして、いよいよウルトラマンがファンの前に初めて姿を現すシーン。桜井さんからは、舞台の凄まじい混乱ぶりに、演出を手掛けた実相寺昭雄監督と樋口祐三監督が「あまりにめちゃくちゃだから」と、自らクレジットから名前を外したという裏話も披露されました。

桜井さんは「こんなドタバタな映像を、60年後にこの場所で皆さんと一緒に観ることになるなんて、当時は夢にも思わなかった」と笑顔でコメントしました。

映像の最後には、激しい戦いを終えた出演者全員が主題歌を大合唱。画面には、歌詞カードを見ながら楽しそうに歌う円谷英二監督の姿も映し出されます。映像を見ていた桜井さんからは「パパ(黒部進)は全然歌ってないし、歌詞を覚えてない(笑)」というツッコミが入り、会場は再び笑いに包まれました。

前夜祭のドタバタ劇を振り返りながら、桜井さんは「でもね、ここでウルトラマンの『絆』が深まったのかもしれない」と語ります。台本通りにいかないステージの上で、しびれを切らしたムラマツ隊長が「もう出よう!」と決断し、全員がそれに迷わずついていったエピソードを挙げ、「科学特捜隊の結束が強まったのは、間違いなくこの番組のおかげ。全員がキャップについていった」と、当時のチームワークの原点を明かしました。

・フジ隊員からレナ隊員へ受け継がれた「自立する女性隊員」
初代『ウルトラマン』におけるフジ・アキコ隊員のキャラクター描写について、桜井さんは当時、「男性隊員を見上げるような、か弱いヒロイン」を求められることもありましたが、桜井さん自身が「自分でジェットビートルを運転したい!」とスタッフに直訴し、自立した強い女性像を自ら作り上げていったと振り返ります。

トークでは、フジ隊員が切り拓いた「自立する女性隊員」像が、30年後の『ウルトラマンティガ』で吉本さんが演じたレナ隊員へと受け継がれていった流れが語られました。

・娘を想う父・黒部進さんの「最高の父親の顔」
吉本さんからは、自身が『ウルトラマンティガ』のレナ隊員役に決まった当時のエピソードが披露されました。もともと「芸能界の厳しさを味わわせたくない」と、吉本さんが女優になることに反対していた黒部さん。それでも吉本さんはある企業からの内定を辞退して役者の道を志し、その後、レナ隊員役のオーディションを受けました。

オーディション後、なかなか結果が分からず、黒部さんも悶々としていたといいます。桜井さんを通してプロデューサーにオーディションの状況を確認したところ、「もうとっくに受かってるよ!」という返事があったとのこと。それを聞いた黒部さんは、人目もはばからず大喜びの表情を見せたといいます。桜井さんは、そのときの黒部さんを「最高の父親の顔だった」と振り返り、会場からも温かな反応が寄せられました。

イベントのクライマックスでは、観客の呼び声に応えるように、ウルトラマンがステージに登場。その姿は、60年前の『ウルトラマン前夜祭 ウルトラマン誕生』を連想させる、Aタイプマスクのウルトラマンでした。そして、ウルトラマンは、会場に駆けつけることができなかった黒部さんから、一通の手紙を預かっていました。

「ウルトラマンの日:黒部進様よりのお手紙(桜井さん代読)」
「ウルトラマンシリーズ60周年」という大きな節目の日に、こうして皆さんと喜びを分かち合えることを、心から嬉しく、誇りに思います。60年という長い年月、光が途絶えることなく続いてきたのは、間違いなく、ファンの皆さんの応援のおかげです。本当にありがとう。

今日ステージにいる多香美。君が『ティガ』のヒロインに決まったと聞いたあの日のことは、今でも鮮明に覚えているよ。親として、そして一人の役者として、厳しい現場に飛び込む君を誇らしく思う反面、少しの心配もありました。けれど、君は立派に駆け抜けた。ヒロインとして、多くの子供たちに勇気を与えた君は、私の自慢です。多香美、よくがんばったね。

そして、この手紙を読んでくれているロコちゃん。今日は私の言葉を、君の美しい声で届けてくれてありがとう。60年、長かったようであっという間でしたね。科学特捜隊の皆さんはまさに苦楽を共にしたかけがえのない仲間です。フジ隊員、これからもハヤタを、そしてウルトラマンをよろしく頼みますね。

ウルトラマンたちの物語は、これからもずっと、ずっと続いていきます。時代が変わっても、私たちの物語が、皆さんと共に光り続けますように。ウルトラマンは、いつでも君たちのそばにいます。

2026年7月10日
ウルトラマン/ハヤタ・シン役 黒部 進

ウルトラマンの日 in 杉並公会堂

黒部さんから娘へ贈られた言葉に吉本さんは涙を流し、言葉を詰まらせながらも力強く客席に向け、ファンへの感謝と未来への決意を語ります。

「父はハヤタでもあり、ウルトラマンでもあり、そして私の父でもあります。今は少し体が不自由になってしまい、今までのようには皆さんの前に出られないかもしれないけれど、父は今も元気に生きています! 皆様の心の中にずっとあり続けるウルトラマンの光は、永遠の存在です。これからも皆様の心の中に、ウルトラの光が輝き続けますように。そして、世代を超えてこれからも、みんなが力強く自分の人生を乗り越えて、『この人生、生まれてきて良かったな』と思えるような人生を、ウルトラマンとともに紡いでいけたら嬉しいです。本当にありがとうございました」と挨拶。

イベントの最後は、会場を埋め尽くしたファンとともに「ウルトラマンの歌」を大合唱。60年前、ウルトラマンが初めて人々の前に姿を現した杉並公会堂に、再びその歌声が響き渡り、「ウルトラマンの日」を祝うイベントは幕を閉じました。

「ウルトラマンシリーズ60周年プロジェクト」公式サイト:https://60th.m-78.jp/

©円谷プロ

●次の記事もオススメ ——————
『ウルトラマンテオ』本篇映像使用のプロモーション映像&番宣ポスターお披露目

『ウルトラマンティガ』30周年プレミアムステージ、ダイゴ(長野博)・レナ(吉本多香美)出演でウルトラマンの日に開催!

→『ウルトラマンティガ』の記事を探す

→『ウルトラマン』の記事を探す