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Vol.281 『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』

スター・ウォーズ/最後のジェダイTOHOシネマズ日本橋にて『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』を鑑賞。『スター・ウォーズ』シリーズ8作目となるSF映画で、前作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』から直結する作品です。Dolby ATMOSで鑑賞。

伝説のジェダイ、ルーク・スカイウォーカーを探し当てたレイ。闇の力と対抗するために協力をあおぐレイに対し、ルークは「ジェダイは滅びる」と告げ、協力を断るのだった。一方スターキラー基地を破壊されたファースト・オーダーは、その攻撃からレイア率いるレジスタンスの基地を突き止める。そしてその大艦隊は、レジスタンスの艦隊に迫りつつあった……。

前作があまりにも旧作に媚びを売った作品で、レビューでも「巨額な費用をかけたファンムービー」と書きましたが、本作も同様になるのではないかという懸念もあり、それほど期待してはいませんでした。ですが本作では、旧作にすり寄る部分も少なく、旧作にまつわるアイテムの登場のさせ方も無理矢理感がなかったのはよかったですね。

今回3部作に関しては、そこに何を求めるかによって評価が大きく変わると思います。これまでの『スター・ウォーズ』がすべてであり、その正統な続きとなる大河ドラマを求めている人にとってはつらいかも知れません。逆に、ここから作られる新しい『スター・ウォーズ』を求める人にはいい作品ということになるのではないでしょうか。

旧作の世界観や設定に対して矛盾しているとか、フォースとはこういうものではないとか、弟子(カイロ・レン)に対して取った態度はルークではない、ご都合主義すぎる、というような意見もわかります。でも待ってください。それが『スター・ウォーズ』ではないでしょうか。旧作にもたくさんの矛盾はありますし、設定もころころ変わるし、大宇宙を舞台にしていながら、結局は周囲にいる人物だけで済んでしまう話だったりします。

壮大な大河ドラマでもなければ、完璧なヒーロー物語でもない。上のあらすじに「伝説のジェダイ」などと書きましたが、ルークが? 師匠が行くなというのに修業を途中で投げ出してベイダーのもとへ行って、ぼろぼろにやられて、その後も、皇帝と対峙するものの父親への情にほだされて太刀打ちできず、結局父親に助けてもらってなんとかなったというキャラクターですよね。

本作では、カイロ・レンとの間で起きた出来事が明かされますが、そもそもきちんと修業も終わっておらず、師とともに戦ったこともないルークに弟子を育てられるのかどうかも疑問なわけで、結果的にレンがダークサイドに落ちたのも、十分ありえる話だと思います。

旧作、特にエピソード4~6についてはルークだけでなく、作品自体が神格化されてしまっているような気がしますが、決してそんなことはなく、だからこそ、まったく新しい、今だからできる『スター・ウォーズ』が観たいのです。前作ではそれができていませんでした。

では今作はどうかというと、全体の世界観を引っ張りながらも、次の世代へバトンタッチさせようとしている意欲は感じられました。ただ、7~9の3部作なのに、そのバトンタッチで8までかかってしまうのはダメですね。それは7できっちり終わらせて、8、9は新しい主人公たちの物語にしないといけません。

しかし、それができず、7ではハン・ソロ、8ではルークが主役になってしまった。レイやフィンが本当の意味で活躍する場は次の1本だけということになってしまいます。それでは3部作としてのバランスが変。4・5でオビワンやヨーダが主役になっているようなもんですよね。旧作のキャラクターはあくまでサブでなければ新しい物語は始まりません。

ただ、話としては、3部作の真ん中の話のわりによくできていたと思います。4~6の真ん中の話である『帝国の逆襲』と同様に、登場人物たちがいる場所がばらけてしまっているにも関わらず、センテンスの切り方がきちんとしているので、中途半端な形でカメラが別の場所に行かない形になっていました。『帝国の逆襲』はそれができておらず、消化不良のシーンがざくざくつなげられていて、常に飢餓感を感じるような編集でしたが、本作はそうでなかったのは評価できると思います。

全体的な物語も短期間の話が並行して進むので勢いがありましたね。これで、旧作のような行き当たりばったりの展開がもっと入り込めば、さらに『スター・ウォーズ』だなという感じでしょうか。

ただやはり、ルークに花を持たせすぎでしょうか。クライマックスの戦闘シーンなどかっこよすぎですよね。夕景を背景に迫り来るAT-ATウォーカーに対峙するルークの姿はかっこよかった。旧作のファンもこの部分は喜んだんじゃないですかね。エピソード4~6では観られなかった、かっこいいルークの姿でした。

それにしてもレイの成長が目覚ましいですね。ルークがいなければ立派な主役だったと思います。それに引き替え……カイロ・レンは相変わらずというか。敵としてのキャラが立ってませんね。父親を手に掛けて一皮むけるかと思いきや、敵としては弱い。次のエピソード9が最終作になるわけですが、まさかカイロ・レンがラスボスじゃないですよね? 今のままでは役不足すぎるでしょう。

スター・ウォーズ/最後のジェダイ

あとBB-8が万能すぎますね。R2と3POがばらけてしまっていて、そのコンビネーションでの活躍ができない分を埋めているのだと思いますが、そこはちょっとさみしいところです。9部作、すべてに登場するのはR2と3POという話だったので、その語り部としての役割を担うのかと思いきや、前作・今作での2体の扱い方がちょっとひどい気がします。

また、残念なのは、前作を観ていないと登場人物も物語もまったくわからないだろうという点。3部作と言えども、1本の映画なのですから、本作だけ観てもわかるように作ってくれないといけません。そこは大減点です。

全体としては、『スター・ウォーズ』という肩書きを持って、新しい物語を作ろうとしているのに、旧作を壊しきれずずるずるといってしまっている作品という気がしました。

本作でやっと世代交代が完了したわけですが、次の物語はいったいどういう話となるのか。壊滅寸前のレジスタンスが、新共和国を壊滅状態にして力を増しているファースト・オーダーに太刀打ちできる気はしませんが、次こそ、レイたちを主役とした、本当の意味で新しい『スター・ウォーズ』が観られることを期待します。

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は、全国ロードショー中です。

(C)2017&TM Lucasfilm Ltd.

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