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Vol.154 『インモータルズ -神々の戦い-』

Immortals完成披露試写にて『インモータルズ -神々の戦い-』観賞。TOHOシネマズ六本木にて2D上映。
ギリシャ神話をモチーフに作られた、壮大な戦いのドラマ。『300<スリーハンドレッド>』の監督をはじめとするスタッフが作っただけあって、あの独特の空気感、カメラワーク、そして迫力ある大軍勢による戦闘シーンを楽しむことができます。


この作品の主役はテーセウス(映画ではテセウスと呼ばれていました)なのですが、ギリシャ神話そのものをシナリオに落とし込んでいるのではなく、あくまでキャラクターとして使っているので、ミノタウロス退治やアルゴー探検隊の話ではありません。ミノタウロスのような敵と戦うシーンはありますが、物語としては神の武器“エピロスの弓”をめぐる人間の戦いと、オリンポスの神々とタイタン族の戦いが主軸になります。
その描き方は『300<スリーハンドレッド>』同様とても迫力があり、特に神の戦いにおいては、その超人的な能力を魅せつけるスピード、パワーあふれる映像。『300<スリーハンドレッド>』がすごいと思った人ならかなり楽しめるのではないでしょうか。ただその描写が容赦ないので、少々グロかったり、エグかったりという面はあります。
人類誕生の遙か昔に行われたという天空での戦いからラストシーンまで、様々な戦い、アクションシーンが展開されるのでそういうアクション映画が好きな人にはとてもいいかなと思う反面、ドラマ部分が若干弱い感じ。
ギリシャ神話というと、父と子とか、妻と愛人、兄弟といった関係が、悪い言い方をすると道徳観が薄い感じでどろどろとした話として語られることが多いのが特徴です。しかしこの作品ではそういった要素はほとんどありません。主人公とヒロインの恋といった部分はありますが、それ以外のキャラクターにはそういった要素がない。
敵となるハイペリオン王(ミッキー・ローク)にそういった色欲的な部分がまったくなかったのがドラマとしての薄さを作ってしまったような気がします。英雄色を好むではありませんが、古い歴史の話などを作るとき、やはり悪役がそういった野心をギラギラさせる部分があって主人公の誠実さなどが光るということもあり、このへんが少しあればなぁと。
ただ、無慈悲でとてつもなく残虐な王として、恐怖の対象、憎むべき相手というキャラクターにはなっています。『アイアンマン2』の敵キャラのときにも感じましたが、ミッキー・ローク、すごみのある悪役がとても似合うようになりましたね。
この作品の衣装は石岡瑛子さんが手がけていますが、けっこう独特な衣装が多かったように感じます。神々の衣装はまるで『聖闘士星矢』の黄金聖闘士(^O^) 瞬のネビュラチェーンのようなものも出てきますし、まるでアニメから抜け出てきたような印象でした。
この映画で一つ残念なのは音楽が……はっきりいうとうるさくて、まるで雑音のように感じることでしょうか。騒音といってもいいです。オーケストラが奏でる不調和音という感じでしょうか。基本となるスコアがあり、メロディラインもあるのですが、それぞれのパート・リズム・テンポに合わない音が必ず重なっているというか……。
音が外れているわけではないのですが、耳に入ってくるメロディに対してずれているようなタイミングで非常に違和感を感じる音やメロディが重なっているという書き方だと伝わりますかねぇ。その音さえなければ問題ないのに、その耳障りな音があるために全体が雑音になってしまうというか。様々なBGMが使われていましたが、どこでもそういった感じだったので、音楽を担当したトレヴァー・モリスの感性なんでしょうね。個人的な印象かも知れませんが、私にはなじめませんでした。
全体的には、英雄の物語、神話、歴史ものなどが好きな方、アクション映画が好きな方にはいい映画ではないでしょうか。
『インモータルズ -神々の戦い-』は11月11日からTOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショーです。
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