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Vol.158 『ブルース・リー 死亡の塔』

死亡の塔観賞映画振り返りコラムの58回目は1981年に観た『ブルース・リー 死亡の塔』。ブルース・リーの大ファンだった友人に誘われて観ました。丸の内東映パラスだったかと。
多くのファンを生み出した『燃えよドラゴン』が日本で公開されたとき、すでにブルース・リーは故人となっていました。その後、過去の作品が『ドラゴン』の名の下に公開されていったわけですが、1970年代中盤には底をついていました。その後、亡くなったときに撮影を中断していた『死亡遊技』に代役を使った追加撮影を行って公開したわけですが、「また未公開フィルムが見つかった」という名目で作られたのがこの作品。


最初からはっきり書かせてもらうと、ブルース・リーの名前を冠して発表すること自体、詐欺に近い作品。確かに未公開のフィルムはあったのでしょうが数分というレベルで、ほとんどが『燃えよドラゴン』などのNGだったであろうフィルムをつなぎあわせ、上から違うセリフを吹き込んでいる状態。
さりげなくジェームズ・コバーンらが映り込んでいたりしましたが、ブルース・リーの葬儀の映像まで使うというのは浅ましいの一言。こういうのを死者にむち打つというんじゃないでしょうか? 32歳という若さで亡くなり、もっと映画を作りたかったとは思うのですが、こういう映画を本人が望んでいたとは到底思えない。「ブルース・リー」の名前を使えばお金になる、という、それだけで作られた映画にしか見えませんでした。
話としてはブルース・リー自体は前半で退場し、後半は弟役のタン・ロンが主役を務めます。このタン・ロン、前半ではリーの代役も演じているのですが、これがもうバレバレで……。とにかく使えるフィルムをどうやってつないで話を作るかという体裁なので、前半ボロボロです。
突然写真にサングラスとヒゲを書いて、今日からの俺はこれだ!とかいったかと思うと、次のシーンではタン・ロンがサングラス・ヒゲ姿で登場してブルース・リーでーすみたいな、そういう感じ。個人的には失笑というレベルでした。
後半、ブルース・リーのしばりがなくなってからがこの映画の本体となるわけですが、アクションなどはブルース・リーの代役を務めるだけのしぐさや動作が随所に観られます。しかし、ブルース・リーほどの切れはなく、いっそのこと、まったく違うアクションにすればよかったのにという気はしました。タン・ロンの名前で売って、ブルース・リーがカメオ出演という形でまとめてればよかったと思います。
このタン・ロンも今年58歳で亡くなりましたが、なまじブルース・リーの影武者として登場してしまったことが、いろいろな面で不幸だったんじゃないかなという気はします。まったく違うアプローチで登場したジャッキー・チェンに比べ、ブルース・リーの代役という肩書きがあったことが俳優としての幅を狭めてしまった、そんな気がします。
いろいろな意味で香港映画そのものに失望し、この後、スクリーンで観ることはほとんどないだろうと感じた映画でした。
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