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Vol.132 『チャンス』

チャンス 30周年記念版観賞映画振り返りコラムの51回目は1981年に観た『チャンス』。旧・丸の内ピカデリーで観賞。
子どものころから住み込みで庭師として働いていた屋敷の主が亡くなり、生まれて初めて街に出るチャンス。そこで偶発的な事故から経済界の大物の屋敷に住むことになり……テレビと庭師の仕事のことしか知らないチャンスの語る言葉が周囲に様々な形で勘違いされ、大統領候補に担ぎ出されるにいたるのだった……。


ピーター・セラーズ主演のコメディで、公開前年に亡くなったため、劇場公開作品としてはこれが最後となりました。ピーター・セラーズといえば、様々な役柄をこなす方ですが、『博士の異常な愛情』『ピンクパンサー』の印象がとても強く、イメージとしては怪優という感じがします。しかしこの作品ではそういったドタバタ演技はまったくなく、物静かな初老の人物・チャンスを見事に演じきっています。
ピーター・セラーズ出演映画のゲラゲラ笑う感じはなく、ニヤリという感じの笑いを誘う。クルーゾー警部のようなあくの強いキャラクターではなく、こうした飄々とした人物も演じることができるのかと感心すると共に、こうした演技の映画をもっと観てみたかったなぁと、つくづく亡くなったことが惜しく感じました。
ドタバタギャグ映画ももちろんおもしろいのですが、お金を出して映画館に観に行くかというとそれほど観に行く対象になりにくいということもあり、ピーター・セラーズが生きていたらこの映画の後、どんな作品が観られたかなぁということがとても残念です。
ピーター・セラーズもさることながら、脇を固めている人達がまた役者揃い。シャーリー・マクレーン、メルビン・ダグラス、ジャック・ウォーデン。この人達の演技がシリアスな分、ピーター・セラーズの演技がさらに力を持ったと言っていいと思います。その対比がとてもおもしろく、キャスティングの妙だなと思いますね。
ストーリーとしては風刺的な要素が強い作品で、世の中を動かしている財界人や政府といったものをかなり皮肉っています。そうした人達の視点が向いている方向がどういうものなのか、もっと見るべき方向があるのではないかといったことを指し示すとともに、自分たちの上に立っている者はこのレベルなんだよという皮肉。そこに政治的なメッセージはそれほど含まれていないと思いますが、どこかそういう思想を感じてしまうシナリオでした。
ラストシーンに関しては、人それぞれ感じるところ、思うところが違うと思います。そこに込められたメッセージは観た人それぞれの解釈でいいんじゃないでしょうか。私はなんとも言えないすがすがしさをそこに感じ、とても気持ちよく映画館を後にしました。ピーター・セラーズという俳優の残した数々の作品の中で、1、2を争う秀作だと思います。
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