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Vol.280 『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』

マスコミ試写にて『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』を鑑賞。リュック・ベッソン監督によるSF映画。

地球の宇宙ステーション「アルファ」は多くの宇宙人とのコンタクトを経て、軌道上に置けないほど巨大化し、遠い宇宙へ送られ、様々な種族が共存する宇宙都市となった。時は過ぎ、西暦2740年。連邦捜査官のヴァレリアンとローレリーヌは、膨大なエネルギーを生み出す変換器を入手し、アルファへ届けるのだが、アルファの中心部では謎の放射能汚染が広がっていた……。

ヴァレリアン 千の惑星の救世主

巨大な宇宙都市と化した宇宙ステーションを舞台に描かれるスペースオペラである本作。冒頭は我々がよく知る宇宙への進出から始まり、あっという間に数百年が経過してきます。その導入部分が終わるとヴァレリアンたちの活躍に突入し、次から次へと様々なエピソードが展開されていくので、気がつけばその世界観に入り込んでいるという感じ。

アルファをめぐる謎、そして陰謀に対して立ち向かうヴァレリアンたちの姿を主軸に、とにかく詰め込んだ!というてんこ盛りのエピソード。上映時間は137分と長めですが、新しい要素が次々登場するので、特に停滞したり、中だるみするということはありません。

原作は20巻以上もあるバンド・デシネなのでエピソードに事欠くことはないんでしょうね。そして、そのバンド・デシネの特徴でもある、鮮やかなビジュアルが実写映像として映し出されているという感じで、とにかく光、色、風景といったものが強烈なインパクトを与えてくれます。

ヴァレリアン 千の惑星の救世主

1970年代から80年代初頭、日本の漫画家やアニメの世界に強く影響を与えたメビウスというバンド・デシネ作家がいましたが、彼が原画などを手掛けた『時の支配者』というアニメのイメージが少しダブりました。あの独特の世界は、当時のマニアや業界関係者なら必ず通る道だったと思うのですが、それが21世紀に甦ったという感じでしょうか。

『未知との遭遇』、『スター・ウォーズ』以降、リアル路線に突き進んだハリウッドのSF映画に対し、『バーバレラ』や『フラッシュ・ゴードン』といった、昔のSFの王道を行くような作品がほとんどなくなってしまいましたが、本作は完全にそちら寄り。映像こそ21世紀の最新技術ですが、物語は、かつての英雄譚が主軸だったSFです。

主役となるヴァレリアンとローレリーヌはいま売り出し中のデイン・デハーンとカーラ・デルヴィーニュが担当していますが、脇がとても豪華。クライヴ・オーウェン、イーサン・ホーク、ジョン・グッドマン、ルトガー・ハウアー、そして音楽界からハービー・ハンコックとリアーナが出演しています。ヴァレリアンたちが物語の中を突っ走る分、他の方々が要所要所をきちんと締めていますね。

ヴァレリアン 千の惑星の救世主

映像に関しては、リュック・ベッソンがやりたい放題、自分が作りたい映像を作ったのではないかという感じでしょうか。とても鮮やかな海を持つ惑星、砂漠のバザール、そして宇宙ステーション内に存在する様々なエリア。この映像は今だから作れるものであり、20世紀には無理だったでしょうね。

少し残念なのは、CGがCGとして見えてしまうところでしょうか。CGの進歩は目覚ましく、どんな映像でもリアルに作れてしまう利点はありますが、やはり空気感を作るのは苦手ですね。宇宙空間なので空気はないにしても、その遠近感というか立体感というか、そういったものを表現するのが難しい。実際の海の映像の次に海の惑星のシーンに続くのですが、それまであった空気感が海の惑星のシーンで突然なくなってしまう。こうした部分が気になるのは私だけかも知れませんが、そこに同一の空気が漂う映像だったらよかったなという気はしました。

ヴァレリアン 千の惑星の救世主

全体としては、60年代・70年代の王道SF映画が好きな方なら楽しめる作品だと思います。いろいろ詰め込んでいるので、本当に必要な部分だけを抜き取ったら30分程度は短くできるのではないかという気もするのですが、それ以外の部分もまた楽しい作りになっているし、飽きることはないのでいいのではないでしょうか。

『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』は、2018年3月30日より全国ロードショーです。

(C)2017 VALERIAN S.A.S. – TF1 FILMS PRODUCTION

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