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Vol.36 『レッドクリフ Part II』

レッドクリフ Part I完成披露試写にて『レッドクリフ Part II』観賞。昨年11月に公開され、50億円の大ヒットを記録した『レッドクリフ Part I』の続編にして完結編。Part Iに引き続き完成披露という形で拝見したのですが、六本木ヒルズのTOHOシネマズ全スクリーン貸切だけでなく、ジョン・ウー監督、金城武さんらが舞台挨拶を行い、大阪・福岡で同時に行われた試写会場にも衛星中継……これまでいろいろな完成披露に参加してきましたが、ここまで大規模なイベントだったのは初めてでした。
話としてはPart Iの続き、いよいよ三国志最大の合戦である赤壁の戦いがメインとなります。もちろん有名な10万本の矢のエピソードもあるのですが……舞台挨拶で金城さん、ネタバレ(-_-;)


三国志の中ではとても有名なエピソードなので、知ってる人も多いかも知れませんが、そのエピソードを知らない人がいたらハラハラ感がなくなってしまうんじゃないでしょうか。ワイドショーなどでもその挨拶部分を放送してましたが、あれはちょっとまずかったんじゃないかなぁと個人的には思いました。
映画としてはPart Iに負けず劣らずの迫力ある戦闘シーン、それぞれのキャラクターの見せ場などがあり見応え十分。逆に言うと、どうしてもアクションシーンが続くために、Part Iほどめりはりがなくずっといってしまうのが少々難点かも知れません。そのためか、クライマックスである赤壁の戦い、特に水上合戦のシーンがちょっと物足りない感じがしました。
もちろん迫力満点ですし、映像としてはよく作ったなぁというシーンなのですが、想像の域を脱しないというか、考えていた以上の絵は観られなかったというべきでしょうかね。いい意味で期待を裏切ってほしかったのですが、そこまでではなかったと。思うに、連環の計が描かれていなかったのが原因かなという気がします。
曹操軍が大敗を喫する最大の原因となった連環の計にどうしてはまったのか、その結果どういう効果があったのかが今一つ描けていなかった。ほう統(ほうはまだれに龍)も徐庶も出てきませんし、なんかいつの間にかそういうことになってて、船がそういうことになってますという報告があるだけ。そのために、罠にかかった! やったやった!という達成感がなく、80万もの大軍が大敗したという実感がわかず、ものすごい合戦という感じが今一つ伝わってきませんでした。ここがクライマックスだっただけにちょっと残念。
その分、中村獅堂さんが演じる甘興に想像以上の見せ場があったり、周瑜と孔明の言葉の要らない友情があったりと、どちらかというと人物を描くほうに重点が置かれているというところでしょうか。
今回のPart IIまで通して観て感じたのは、三国志であって三国志ではないということでしょうか。歴史というのは一部分だけ切り出してもそれだけで完結するわけではなく、そこにいたる過程と、その後に続く歴史があるわけで、映画として完結させるためにはそこを含めて全体を構築しなければならない。
そのためにフィクションを加えたりする必要が生じるわけですが、この映画ではその部分をそうだと割り切って観る必要があります。そういう見方ができない人には「これは史実と違う」とか、「これは三国志ではない」というふうに取られてしまいますね。たぶん公開されるとそういうつっこみをする人が多そうな気がします……。まあ、逆にこれを史実としてとられてしまうのも困りますが、そういう人も増えそうだなぁ。
80万VS5万の大合戦なのに、曹操、劉備、孫権、関羽、張飛、孔明、周瑜、超雲が一つところで顔を合わせてやり取りをするなんてことあるわけがなく、まさに映画ならではという感じ。主役が一堂に会してやり取りするなんて……ガンダムじゃないんだから!と(^_^;)
この赤壁の戦いの締めくくりとなる部分はもちろん史実と違い、映画らしい終わり方というべきでしょうか。曹操と関羽のやり取りも観たかった気がしますが、これはこれでよしとしましょう。
『レッドクリフ Part II』は4月10日、日劇1・日劇3ほか全国超拡大ロードショーです。


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