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Vol.211 『キカイダー REBOOT』

キカイダー REBOOTマスコミ試写にて『キカイダー REBOOT』を観賞。今週末に公開される特撮映画で、『人造人間キカイダー』を“REBOOT=再起動”した作品。
平和利用を目的としたロボット開発計画「ARKプロジェクト」。その主任研究員・光明寺博士は研究中非業の死を遂げる。そして、残された彼の子どもミツコ・マサルは博士の残した研究データを狙う謎の部隊に襲われるが、その時、2人を助けたのは光明寺博士が作った「心=良心回路」を持つアンドロイド・ジローだった。2人を連れて逃避行を続けるジローだが、その前に暗黒の戦士ハカイダーが現れ、圧倒的な力を見せつける。


リメイク作品、リブート作品というのは、映像などでは勝るものの、本質的な部分でオリジナルを超える作品というものが少ないと感じています。そのオリジナルが古い作品で、テンポもシナリオも、いま見たら古くさい以外の何者でもないような作品でも、なぜかオリジナル作品のほうがいいように感じてしまう。そういった意味で本作もそれほど期待せずに観たのですがまったくの杞憂で、まさに再起動、新生、生まれ変わったというべき作品になっていました。
スタイリッシュなデザインで生まれ変わったキカイダーとハカイダー。言われなければ気づかないグレイサイキングなど、今風のビジュアルになったからということではありません。そのシナリオ、アクション、VFX。さすが時間をかけて作った、21世紀のキカイダーという映画になっています。

キカイダー REBOOT

ハリウッド映画ほどの予算はかけられなかったとは思いますが、その制約の中でこれだけの映像を作ったのは素晴らしいと思います。年に何本も作られる仮面ライダーの映画の場合、CGが浮いていたりしても、もうそういうものだと思って観ていますが、この『キカイダー REBOOT』はほんとにじっくり作ったなということがよくわかります。
冒頭シーンで、プロトタイプのアンドロイド、マリとジローが戦うシーンから最後の戦いまで、その激しいアクションもすごかったです。こういうシーンを観てしまうと、やはりCGは生身の肉弾戦に絶対かなわないと思いますね。CG技術も進化して、変身後のアクションがすべてCGというような特撮作品もありますが、どこかゲーム画面を見ている感じがしてたんですよね。
このキカイダーという作品の肝は、なんといっても良心回路についてどう扱われるかだと思っていました。完成している青「善」と、未完成の赤「悪」。その不完全さに苦悩するジローの姿をどのように表現するか。シナリオといった面もありますが、その演出がどのように行われるかによって、この作品の評価が変わってしまう、最重要の部分。

キカイダー REBOOT

この点についての演出がとてもよかったですね。あるシーンでは右側のみ(青)映し、その次に左側のみ(赤)の映像になる。それぞれの意味を重ね合わせながら演出の意図を考えて観ると、一つ一つのシーンがとても深く感じられます。
TVシリーズでおなじみのプロフェッサー・ギルの笛(今作では電磁波)も登場しますが、そのとき、人の心をなくすキカイダーのぞくっとする怖さを赤側で表現するシーンなどは、日本ならではの表現だと思います。
以前、仮面ライダー電王の映画のコラムでも書きましたが、形態が変わらないマスクで演じているのに、そのキャラクターの喜怒哀楽、あるいは表情をうかがい知ることができる映像というのは能の世界なんですよね。顔の傾き、ライティング、仕草。そういったもので感情を表すことは、アメリカ映画ではできません。
だからアメリカンヒーローはフルマスクのものはほとんどなく、たとえば口と目だけは見えるようにしてあったり、最終的にマスクを破いて目などで表現するしかできない。あるいはCG使って表情作ったりとかね。ところが日本では口が動かなくても感情を表現できる。これは世界に誇っていい技術だと思います。

キカイダー REBOOT

そして、その感情表現を用いて、良心回路で揺れ動くキカイダーというキャラクターに命を吹き込んだこの作品。アクションなどもかなりすごいですが、それよりもそうした心の動きをきちんと見せてくれたことがうれしかったです。
最近、特撮映画、特にヒーロー物が粗製濫造になっている気がしていて、大量生産の末にしぼんでいってしまった1970年代の繰り返しになるのではないかという心配があったのですが、今作のようなしっかりとした作りの作品ができて一安心という感じでしょうか。何年かに1本でいいので、こうした作品が作れれば、まだまだ日本の特撮も続いていけると思います。
余談ですが、エンドロールは「ゴーゴーキカイダー」を再録(?)した「ゴーゴーキカイダーREBOOT 2014」という曲が流れ、TVシリーズのカットが流れます。曲は懐かしいし、ワルダーとかギルハカイダー四人衆とかの場面カットは一瞬「おぉ!」とか思うのですが、個人的には不要だと思いました。当時のファン向けのサービスということもあるとは思うのですが、この映画から再起動し、新生キカイダーを誕生させたのに、オリジナル作品をここにひっぱることの狙いがわかりません。新作は新作として終わらせるべきではないかなという気がしました。
『キカイダー REBOOT』は5月24日から全国ロードショーです。
(C)石森プロ・東映 (C)2014「キカイダー」製作委員会
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