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Vol.263 『パワーレンジャー』

マスコミ試写にて『パワーレンジャー』を鑑賞。スーパー戦隊シリーズを英語にローカライズしたTVシリーズ『パワーレンジャー』のオリジナル新作映画。

ある事件で選手生命を絶たれてしまった元アメフト部のスター選手だったジェイソンは、補習授業で自閉症のビリーと出会う。そのビリーが心のよりどころとしている金鉱で、やはり問題を抱えている高校生のキンバリー、トリニー、ザックを含めた5人は古代の戦士の力を得る。そのころ、古代の戦士が封印した悪の戦士リタが復活を果たし、街を襲い始める……。

パワーレンジャー

その昔、ボストンへ出張したとき、ちょうど『パワーレンジャー』が始まったころで、街中でソフビ人形やグッズが売られていたのを覚えています。日本の特撮ドラマがアメリカでローカライズされて、こんなにも受けるのかと驚きました。

ホテルのテレビで運良く本編を観られたのですが、ドラマ部分はアメリカ人俳優が新たに撮影し、特撮シーンに日本のスーパー戦隊の映像を使っているという感じで、ただ翻訳したわけではない作り方が新鮮でしたね。

そして今回の映画は、その『パワーレンジャー』1作目である『恐竜戦隊ジュウレンジャー』をモチーフにした『Mighty Morphin POWER RANGERS』をベースにした完全新作映画となります。特撮シーンを流用するといったことではなく、すべて新しく、現代の技術で作られている作品なので、昨今のアメコミヒーロー映画を彷彿とさせる内容であり、スーパー戦隊映画とは一線を画す作品になっています。

パワーレンジャー

5人の、それぞれ問題を抱える高校生たちの物語。等身大の、現代の高校生たちが、悩み、苦しみ、車でバカやって……いわゆるアメリカの青春映画をイメージしてもらうといいでしょうか。古代の戦士のパワーとか、悪の戦士とかが出てこなければ、アメリカンハイスクールムービーです。

その彼らが超人的なパワーを手に入れるわけですが……それだけじゃ変身できない。自分たちの運命を受け入れられず、迷いがあるために戦士に変身できない。その間に復活した悪の戦士による脅威が迫る……危機的な状況を迎えたとき、5人がヒーローへと成長します。

変身アイテムがあればすぐ戦士になれるということではないので、なかなかパワーレンジャーが出てきません。作り方としては、アメリカンヒーロー映画の第1作そのものですね。ヒーローになるキャラクターの物語があって、苦労や葛藤があって、危機が迫ってヒーローになる、みたいな。

パワーレンジャー

このあたりの作り方は逆に言うと大人向けに作られていると言えるかも知れません。ただヒーローが出てきて悪を倒して終わり、というような単純な作りではありませんし、それぞれの登場人物の問題などもからんでくるので、人間ドラマとしての掘り下げなどもありますし。

映像については、パワーレンジャーのスーツや戦闘マシン・ゾードのカットを見てもわかるように、まさに今、ハリウッドで作られているヒーロー映画そのものです。アクションにしてもCGにしても、アメリカ映画らしい作りになっています。元は日本のスーパー戦隊とはいえ、もはやアメリカの新しいヒーロー映画であり、まったく別の作品と捉えたほうがいいでしょう。

作品としては、昨今のアメリカのヒーロー映画が好きな人には向いていると思います。元は子ども向けですが、子どもにはちょっとつらいかも知れません。何せ、パワーレンジャーがなかなか出てこない。敵の登場もそれほど早いわけではなく、その間、青春映画なので……。スーパー戦隊を大人向けにして、アメリカナイズしながらリブートした、そういうイメージです。

パワーレンジャー

『パワーレンジャー』は、7月15日から全国ロードショーです。

©2016 Lionsgate TM&© Toei & SCG P.R.

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