Extra 『機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKY』
マスコミ試写にて『機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKY』を鑑賞。全4話で描かれた『機動戦士ガンダム サンダーボルト』に新作カットを加えたディレクターズカット版。
一年戦争末期、破壊されたコロニーなどの残骸が漂う「サンダーボルト宙域」の奪還を狙う地球連邦軍のイオ・フレミングは、ジオンのエーススナイパー、ダリル・ローレンツと対峙する。イオのフルアーマーガンダムに対抗するため投入されたサイコ・ザク。その性能を引き出すためにダリルは残っている右腕を切断する。熾烈さを増すサンダーボルト宙域での戦いの中、イオとダリルは三度会敵するのだった……。
以前第1話・第2話のマスコミ試写の際にレビューしましたが、今回は残りの2話を含めたディレクターズカット版。もちろんイオとダリルの決着までが描かれています。原作はさらに続いていますが。
『機動戦士ガンダム』シリーズは戦争を縦軸にしながらの人間ドラマが描かれることが多いわけですが、『機動戦士ガンダム サンダーボルト』はその中でも戦争における狂気についての描写が多い気がしています。本作でも約70分という尺の中で様々な狂気が描かれます。
恋人を殺されて復讐を願うカーラ、サイコ・ザクの性能を引き出すためのリユース・P・デバイスのために残っていた右腕を切断し、サイコ・ザクの部品となるダリル、補充兵として最前線に送られてくる学生兵と、彼らを死地に赴かせる命令に苦悩するクローディア、敵に船をダッシュされないよう自爆で対抗しようとするジオン兵……。
宇宙世紀の物語は一年戦争も含めて様々なエピソードが映像化されていますが、ここまで狂気が凝縮された物語はないように思います。そしてそれを、反戦色で描くのではなく、物語の一部として坦々と描いていく。そこに原作者が『機動戦士ガンダム サンダーボルト』に込めた想いがあるように思えてなりません。
そしてそれらと並行して描かれるイオとダリルの死闘。しかし2人の戦いが戦争のすべてではなく、そのバランスの取り方が非常にうまかったです。音響やBGMの良さも相まって、迫力ある戦闘シーンにはなっていますが、それだけが印象に残るわけではなく、全体のディテールまで含めて『機動戦士ガンダム サンダーボルト』という作品を形作った、そんな印象でした。
それぞれで見せ場のある4話を1つの話にした分、最初から最後までノンストップで訴えかけてくる話になっているので、70分があっという間。非常に濃い作品だったなと思います。
『機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKY』は、6月25日から2週間限定で、全国15館にてイベント上映されます。
©創通・サンライズ
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