MOVIEW SNS:facebook twitter YouTube google+

Vol.242 『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦 ディレクターズカット』

新宿ピカデリーにて『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦 ディレクターズカット』を鑑賞。5月に公開された『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』を押井守監督が責任編集を行い、27分の映像を追加した、いわば完全版と言える作品。

熱光学迷彩が可能な戦闘ヘリ“グレイゴースト”が自衛隊員によって持ち去られる。その影には、11年前、特車2課が解決した、幻の東京戦争事件があった。その首謀者である柘植行人のシンパが、グレイゴーストを用いて再び東京を舞台に戦争を引き起こそうとしていた。見えない敵の攻撃によって破壊されるレインボーブリッジ、警視庁舎、そして都庁。自衛隊の戦闘ヘリもかなわないグレイゴーストに、特車2課が挑む。 と、あらすじは変わりません。

THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦 ディレクターズカット

このディレクターズカットで追加されたシーンは、主に特車2課の人間性が見えるシーン。宴会であったり、後藤田と高畑の会話であったり、でたらめなモニターとPCの接続を直すシーンだったりと、細かいけど、他に深みを与える、そんなシーンがほとんどです。

これらのシーンが映画として必要かというと絶対必要なシーンはありません。もしそういうシーンがカットされていたとしたら、5月公開版は映画として成り立たないわけですが、そんなことはないわけで。

ですが、押井監督の作品の味というのは、こういったところにあり、それが全体的に与える影響というのは非常に大きいと思います。たとえば警察物の映画などで、コンビニに弁当を買いに行ったりしないわけです。事件なら事件を中心とした組み立てをする。しかし押井監督作品ではそうしたシーンを加えることで、その登場人物の人間味を増したりします。

THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦 ディレクターズカット

今回加わったシーンはまさにそういうシーン。それが加わったせいで、映画のテンポが落ちたりするようであれば、ほんとに要らないと思いますが、そういうことは特にありません。ディクターズカットというのは、要するに監督が編集したバージョンであり、ありがちなのは、その思い入れからテンポなどを踏まえず、余計なシーンが加わったりすること。

これは本当に難しいと思うのですが、ほんの少しの差で映像の印象ががらっと変わってしまうことが多々あります。ヘタをすると数秒映像があるかないかで善し悪しが変わることがあるのです。Blu-rayやDVDで未公開シーンが特典映像として入っていることがありますが、あれはたいがい編集段階でカットされたシーンで、様々な理由でカットされています。

それを監督が編集してしまうと、必要だと思って撮っているシーンですから、当然加えたくなる。そうすると、カットした理由が無視されることになるので、そこにその問題が生じることになります。そういう理由もあって、ディレクターズカットが元を超えることってあまりなかったりします。

しかし本作の場合は、それをほとんど感じませんし、むしろ、元々こういう映画だったのだという気すらします。ただ、加えるなら、もう少し押井監督のテイストが強くてもよかったかなぁとも思ったり。同じ食事のシーンでも、『アサルトガールズ』で登場した、やみくもにうまそうに食べるシーンくらいやってほしかったかなと。整備員が鉄板の周りに群がってるシーンとか、けっこうスマートなんですよね。あそこはもっとがつがついってほしかったw

今回加わったシーンで重要なのは、先代の資産とは何か?とグレイゴーストを操る灰原の掘り下げでしょう。両方とも5月版を観た後ですごく気になるところでしたから、これを観られるというだけで観に行かなくては!という感じでした。が、灰原に関してはよりミステリアスになっただけという……。謎は謎のままのほうがいいということでしょうね。

THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦 ディレクターズカット

つい最近、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』がわけわからなくて嫌いだという人の話を聞く機会があったのですが、映像の表面しか追えず、それを観た上で自分なりに理解しようとしたり、考えてみたりすることが苦手な方には、押井監督作品は合わないんだろうなという気がしました。

それにしても……上映館が少なすぎる。上映してても朝と夜1回だけという映画館も多く、もっと上映されてもいいのになぁと思います。

『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦 ディレクターズカット』は全国ロードショー中です。

(C)2015 HEADGEAR/「THE NEXT GENERATION -PATLABOR-」製作委員会

●次の記事もオススメ ——————
押井守「パトレイバーの続編をやる気はあります。」 DC版初日舞台挨拶

後藤隊長・南雲隊長が登壇!『TNGパトレイバー』第8回「マモルの部屋」

これが見収め!?実物大イングラム、最後の都内走行が決定!