Vol.236 『ジュラシック・ワールド』
TOHOシネマズ日劇3にて『ジュラシック・ワールド』を鑑賞。マイケル・クライトン原作の小説をスピルバーグが映画化した『ジュラシック・パーク』のシリーズ4作目。
恐竜たちを蘇らせたテーマパーク「ジュラシック・パーク」はシステムの破綻などによりオープンすることなく閉鎖された。あれから22年。その権利を買い取った億万長者が「ジュラシック・ワールド」としてパークをオープンさせた。その集客目的で生み出されたインドミナス・レックスは遺伝子操作によってT-レックスをベースにした凶悪な恐竜。そのインドミナス・レックスは密林に消え、パークに来場した2万人の客はその餌となる運命にあった……。
『ジュラシック・パークIII』からすでに14年も経過してるわけですが、このシリーズの新作が作られていると聞いただけでワクワクしますよね。それはやはり絶滅してしまった恐竜たちが、あたかもそこにいるかのように描かれた映像の持つ力です。毎回、今度はどの恐竜が見られるのだろうかというのが楽しみの一つです。
本作の中で、ビジネスとして新しい恐竜を公開していかないといけないという話が出てきますが、それはこのシリーズのことでもあるわけですね。そして今回登場するのがインドミナス・レックス。ティラノサウルスの遺伝子に様々な遺伝子を加えた凶悪な恐竜なわけですが……うーん、実在しない恐竜出されても、そこにロマンはありませんねぇ。
物語としては、このインドミナス・レックスが逃亡し、それに追われる人間たちのパニックがさらなるパニックを生み出し、翼竜は逃げ出すわ、ヴェロキラプトルは歯向かうわ……という展開なのですが、その映像自体は昔とは比べ物にならないくらいのクォリティで迫力の映像になっています。
恐竜たちに追われるシーンはそれぞれハラハラ、ドキドキ、、、です。個々のシーンは。うーん、なんて書いたらいいでしょう。ぶつ切りというかなぁ。それぞれのシーンが終わるとインターバルがあって、別のシーンがまた始まってという感じなんですよね。ストーリーはもちろん1本なのに、つながってないというか。
シナリオというよりも演出力ですね、これは。本作を観終わったとき、スピルバーグの撮った『ジュラシック・パーク』の偉大さがさらによくわかります。たとえば、乗り物を襲う恐竜と、そこから逃げる人間という、このシリーズではおなじみのシーンがあるわけです。それが、乗り物を襲う、ひっくり返る、ギリで逃げる、追う恐竜、なんとか逃げ切る、という感じなのです。
これがスピルバーグだったら、乗り物を襲う、ひっくり返る、車から逃げ出すも一人取り残される、車ごと崖に落とされる、木にひっかかる、木を上って助けにいく、木を降り出すと車がずれてくる、ギリギリで地上に降りる、落ちてきた車が覆い被さる、くらいにこれでもかと言わんばかりに畳みかけてくるわけです。ドキドキ感がまったく違う。
全体的として迫力ある映像でおもしろいのに、なんとなく短いシーンをつなぎ合わせた感が否めず、そこがもったいないなと思いました。
「ジュラシック・パーク」での失敗がまったく教訓になっていないセキュリティもつっこみどころですかね。すべてが一重で逃げてくれと言わんばかり。あれだけの事件が起こったわけですから、こうしたセキュリティ部分は二重三重になってるでしょ、普通……。その上で逃げ出したよ!という形になってたらさらによかったんですけどねぇ。
映画としてはもちろんおもしろいですし、迫力ある大スクリーンで観たほうがいいと思われる作品です。久しぶりのシリーズ最新作、楽しまない手はないと思います。
最後に素朴な疑問。琥珀に閉じ込められた蚊から血液を抜き取って、そのDNAで復活させる恐竜。今回初登場となる水棲恐竜モササウルスのDNA、どうやって入手したんでしょう?
『ジュラシック・ワールド』は大ヒット上映中です。
©ILM / Universal Pictures and Amblin Entertainment
©2015 Universal Pictures
©Chuck Zlotnick / Universal Pictures and Amblin Entertainment
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