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Vol.232 『キングスマン』

キングスマンTOHOシネマズ六本木でのマスコミ完成披露試写会にて『キングスマン』を鑑賞。突然自宅に届いた、英国オーダーメイドスーツ店「キングスマン」の日本支店開店のお知らせ。そんなお店に縁のない私はいったいなんだろう?と思ってよく見たら試写状でした。で、ろくに中身も見ずに、コリン・ファース出演の映画という知識だけで鑑賞したらスパイ映画でした。

どの国にも属さないスパイ組織「キングスマン」。ある日、行方不明になっていた大学教授を捜査していたキングスマンメンバーが何者かに殺害されてしまう。捜査を引き継いだハリーは、欠員補充のため、元同僚の息子エグジーを推薦し、たった1人しか選ばれない過酷なテストが開始される。
ハリーは、行方不明になっていた大学教授の捜査を進めるうち、世界中で頻発する失踪事件と結びついていることに気づく。そして、その裏には、人類存亡の危機ともいえる陰謀が動いていた……。

タイトルになっている「キングスマン」というのは、ロンドンのサヴィル・ロウにある高級スーツ店で、裏の顔としてどの国にも属さないスパイ組織を運営しています。サヴィル・ロウは王族や政治家、著名人などが顧客の高級スーツ店が集中している通りです。一説には、サヴィル・ロウがなまって背広という言葉になったという話もあります。当然のことながらこの作品ではキングスマンメンバーはびしっとしたスーツ姿でキメています。スーツ姿のスパイがアクションを行う。そうです。ジェームズ・ボンドです。

この作品は、1960年代~1970年代の007シリーズを彷彿とさせるシーンがいろいろと出てきます。スーツもそうです。『007/ドクター・ノー』で、ボンドはサヴィル・ロウでしつらえたスーツを愛用しているという設定になっていました。そうした部分からも、昔のスパイ映画を観ていた人は思わずにやっとしてしまう要素が満載の映画です。ただしキングスマンのスーツは防弾ですがw

007がダニエル・クレイグになってから、かなりシリアスな路線になってしまったのと対照的に、本作は昔のスパイ映画でよく登場したものを、それほど変わらない形で使用しています。たとえば秘密兵器。007にしても『M:I』シリーズにしても、かなりハイテクになってしまっていますが、防弾スーツをはじめ、どこか懐かしいにおいのするものが登場します。

防弾でマシンガンにもなる傘、足の向け方によって毒のついた刃が飛び出る靴、ライター型の手榴弾、毒矢の飛び出す万年筆……。どれもこれもどこかで見たことあるような懐かしさが漂います。

敵にしてもそう。禁断の兵器を入手しようとするテロリストとかそういうレベルではなく、選ばれた人類以外を抹殺しようと目論む、サミュエル・L・ジャクソン演じるIT企業のCEOというぶっ飛んだキャラクター。こういう敵、昔はよくいましたけど、最近はあまり見かけないですよね。

またその手下がすごい。両足とも膝から下が義足なんですが、その義足でなんでもかんでも一刀両断にしてしまうという……。『007/ゴールドフィンガー』で、ハロルド坂田がなんでも斬り裂いてしまう帽子を使っていましたが、あのイメージです。昔の007のおもしろいと思った部分を抜き出して、ブラッシュアップして、すさまじいテンポのアクションを組み合わせた映画といえばまず間違いないでしょう。

007にあって本作にないのはカーアクションくらいでしょうか。いや、カーアクションもすごくテクニックを使うシーンが登場はします。が、ストーリーにあまり関係ないところで出てくるので……。せっかくのカースタントなんだから、戦いのシーンで使えばよかったのになぁと思います。

あとはお色気ですね。こちらもあることはあるんです。007といえば、最後、ボンドガールとしっぽりという形で終わってましたよね。そのあたりは韻を踏んでいます。が、本編ではそういった要素は皆無でした。まあなくてもいいんですが、これだけ007のオマージュ的な映画だったら少し入っててもよかったなという気はします。

キングスマン

まったく内容を知らずに行ったので、映画が始まってスティングの声が聞こえてきたときにはいったい何が始まるんだ?という感じでした。本作はダイアー・ストレイツの「Money for nothing」からスタートし、80年代の曲がよく流れてました。その曲からキングスマンのチームによる敵アジト襲撃に入り、そのまま導入部分へと流れていくわけですが、この冒頭の部分だけでかなり緩急の付け方が上手だなと思いました。

本筋となる敵との戦いと並行して欠員メンバー補充のための死と隣り合わせのテストが行われるのですが、そのメリハリがうまい。アクション映画はもちろんアクションを見せる必要がありますが、あまりにも畳みかけすぎて一本調子になる映画がけっこう多い。本作ではその緩急によって、さらにアクションが引き立っています。

本作には、コリン・ファースのキレッキレッのアクション、というフレーズがありますが、すさまじいアクションが展開されます。それ以外にも瞬殺というのはこういうことを言うのだろうというシーンも多数出てきますし、油断して目を離してはいけません。

ただその分、少しエグいと思うところもあります。個人的にはそれほど過激とは思いませんが、まあ、作ったのが『キック・アス』のマシュー・ヴォーン監督ですから、それ相応のシーンはあります。『キック・アス』同様、モラル的にだいじょうぶなのだろうか?と思うシーンもありますし、レーティングもR15+ですので、その点は考慮の上、鑑賞したほうがいいと思います。

そうそう、本作で行方不明になっている大学教授はマーク・ハミルが演じています。変わりましたね……。『スター・ウォーズ エピソード7』にルーク役で出るんですよね? ちょっと不安になりました。昔の面影がほとんどないので……。

『キングスマン』は9月11日から全国ロードショーです。

(C)2015 Twentieth Century Fox Film Corporation