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『バケモノの子』完成披露試写開催。豪華キャストによる舞台挨拶開催

『バケモノの子』完成披露会見の後、一般の方々への完成披露試写会が開催されました。その余韻の残る中、会場に降ってきたのは『バケモノの子』に登場する不思議な小動物チコ。

雪のように舞うチコの中、舞台の幕が開き、細田監督、役所広司さん、宮﨑あおいさん、染谷将太さん、広瀬すずさん、大泉洋さん、リリー・フランキーさん、津川雅彦さんが登場し、舞台挨拶が開催されました。

バケモノの子

バケモノの子

●『バケモノの子』完成披露試写会舞台挨拶
役所さん:降ってきたチコはタダです(笑) たくさん持ち帰ってください。今日の日を迎えてほんとに幸せです。

細田監督の作品に参加できて、ここに並んでるキャストと一緒にお仕事ができたことを幸せに思います。僕も孫ができたら、孫に自慢できるような作品に参加したことをすごく誇らしく思います。

先日、宮﨑さんとスタジオ地図におじゃまして『バケモノの子』が作られる製作過程を説明していただきましたけど、ほんとにすごい膨大な時間をかけて作られていて、本作はスタッフのみなさんの努力の結晶です。

最近は少なくなったらしいですけど、鉛筆一本一本、線一つ一つに心を込めて描かれている。それが細田監督のこだわりで、人間が惹いたもの、そのぬくもりがきっとお客さんに伝わるはずだという思いで作られたアニメです。

バケモノの子

宮﨑さん:今回前作に続き、細田監督に呼んでいただけてとても光栄に思っています。監督のやり方というのは、基本順録りでほぼ全員のキャストが揃った状態でお芝居をすることができるので、声を当てているというよりは、自分たちが体を動かしてお芝居をしてるのとすごく近い感覚で声を出すことができてとてもやりやすかったです。

染谷さん:きっと涙されてる方も多いのではないかと思うのですが、こんなに素晴らしい作品に出会えて、みなさんに観ていただけたことを幸せに思います。いつまでも時間が過ぎても色あせないそんな名作を細田監督が作り上げました。たくさんの人に観てもらいたいと思います。

広瀬さん:今回声のお仕事で初めて細田さんの作品に出演させていただくことができて、このキャストのみなさんの中で楓として強く生きることができて、ほんとに幸せだなと思います。

声のお仕事は自分にとって特殊な世界だったのでわからないことだらけだったんですけど、今日完成披露を迎えて、これからどんどんたくさんの人に『バケモノの子』という愛情がたくさんある作品が広がっていくんだなと思うとすごく楽しみになってきました。

バケモノの子

MC:ここからはバケモノを演じられたみなさんです……。

津川さん:以前、『サマーウォーズ』というアニメを観まして、たいへん感激して、尊敬していたアニメの監督さんが細田監督です。僕はあまりアニメの声を入れたことがないので、この作品にお呼びいただいて本当に光栄だと思っています。

実は細田さんは最初から僕を当て込んでいたんですね。僕が卯年なもんですから、それでウサギのバケモノは津川だと思って僕をキャスティングした、というのはウソです。僕の作り話です。

でも偶然僕は卯年ですが、その年の頭にお腹に入ってその年の暮れに生まれたわけですからまるまるウサギなんです。これを言いたかっただけです。

バケモノの子

リリーさん:これが役じゃなかったらブタのバケモノっていう紹介の仕方悪いですよね。「ここからバケモノです」っておっしゃいましたけど、役所さんもバケモノなんです。僕も卯年ですけどブタのバケモノです。

今日みなさん『バケモノの子』を観終わって、細田さんの、争うことがいかに無益であるかというメッセージを見た直後に降ってきたチコを奪い合う姿、百秋坊は悲しい思いをしております。でも、やっと素晴らしい映画をみなさんに観ていただけることができまして、特別な思いでおります。

大泉さん:この挨拶のために幕の後ろに立ったときに、宮﨑さんと緊張しますねという話をしていました。舞台挨拶というと、だいたい呼び込まれて出ていくことが多いわけですが、最初に幕の後ろに立ってるのは緊張するものでして、幕が上がるとドキドキするわけです。みなさんどんな顔してるのかな?と思ってたら、みなさんチコに精一杯でちっともこっちを見ていないという(笑)

みなさんはいま映画をご覧になったということで、私はみなさんがうらやましい。私もつい先日観させていただいたんですけど観終わった後にすぐに観たいと思うくらいすてきな作品でした。みなさんもいま、その余韻でいっぱいなんですよ、たぶんね。その中でよくあんだけチコを奪い合えたなと(笑)

私は観終わった後に夜中なのに役所さんにメールしちゃったんですけど、みなさんも人に感想を伝えたいと思わずにいられない映画だったのではないでしょうか。その思いをおさえることなくいろんな方に伝えていただければなと思います。

バケモノの子

MC:細田作品は順録りで録音されるそうですが。

細田監督:順録りというのは物語の最初から順番に録音していくということですけど、そのことが演じる俳優さんたちにとっても気持ちの変化、展開の変化がわかりやすく演じていただけるのではないかということがあります。

本来はこういう順録りでみんなで集まってシーンごとに撮っていくというのは非常に贅沢な作り方です。まとめて録ったほうが時間的に短縮できますが、あえて順録りで録るというようなことにこだわってみました。一方で演出する私のほうも順録りでないとよくわからない、混乱してしまうということがありまして、そこで映画の内容を順番にみんなと確かめながら順録りにしています。

役所さん:順録りというのは映画の流れと同じようにやれるというのは演者にとってもありがたいことです。現場は必死だったけどね。熊徹はとにかくほとんどどなってまして、ビックリマークが10個くらいついてるト書きがついてて。声が枯れずに最後まで保つかっていうのがものすごく不安でしたが、後半になると監督が本番のときだけ大きな声を出してくれればいいからって助けてくれまして、なんとか最後までできました。

若い人たちは声を当てるのがほんとに上手なんです。僕達おじさんたちはあんまり上手じゃないんですけど、若い人たちはこんなに上手なんだろうねぇという話をしてました。

バケモノの子

MC:若い方、宮﨑さん、広瀬さん、染谷さん、現場はいかがだったでしょうか。

宮﨑さん:私は前日から緊張しすぎてあまり眠れないですし、現場に行くまでもほんとに明日が来なければいいと思うくらい、すごく楽しみな反面、すごく緊張が大きい。どうしようと思いながら現場に向かい、小さくなって現場に入り、1時間くらいやっているとだんだん現場の空気が流れてきて、役所さんとの掛け合いもたくさん出てくるので、その中でちょっとずつ乗ってきて楽しくなってきて、最終的には楽しいで終わるんですけど、それまではただただ緊張でした。

広瀬さん:私も普段緊張しないタイプなんですけど、3年間お仕事してきていちばん緊張しました。収録に入る前に先輩方の雰囲気というか現場の様子を監督のそばで見学させてもらっていて、なんとなくこんな感じなのかなとつかんだんですけど、マイクの前に立つと足が震えたりとか、ほんとに緊張しました。

いちばん最初に予告を録ったんですけど、今でももう1回取り直したいと思うくらい緊張していました。

染谷さん:自分も緊張していましたw 人の緊張も感じましたし、自分の緊張も感じましたね。

九太が青年期になってからは人間界とバケモノの世界を行き来することが多かったので、そのギャップを意識してくださいと言われていたのですごく気をつけました。

バケモノの子

MC:それではバケモノを演じられた方々にお聞きします。今回サルのバケモノを演じられた大泉さん、キャスティングについて心当たりはありますか?

大泉さん:若い人とかバケモノとか、ばさっとここで線を引かないで(笑)
サルって聞いて、サルかぁと。昔、ネズミっていいうのはやったことがあるんですけど、サルっていうイメージはなかったんですけどね。

主人公熊徹の幼馴染みであったり、影ながら九太を助けたりといった、そういう人柄で選ばれたんだろうと思ってたんですけど、パンフレットの監督の言葉を読んで、大泉さんは顔で選んだって書かれてて……。

細田監督:顔です。

大泉さん:そんなにサルに似てます?

細田監督:似てますよ。サルというより多々良に似てる。サルと大泉さんが似てるかどうかはわからないけど、多々良と大泉さんは魂的に近いものがあるんじゃないかなと思います。

大泉さん:皮肉を言いつつも熱いところがあるみたいな。僕は皮肉屋じゃないですよ。ぼやき体質なもんですから、ぼやきながらも熱いものを持ってると自分では思っている。

多々良については、このキャラクターでいきましょうというところになるまで、多少時間がかかって、脇汗がだらだらと出たのを覚えてますね。やばいやばいみたいな。緊張しました。私もね、何にも考えないでやってるわけじゃないですよ。

バケモノの子

役所さん:でも、台本読まないでやってて……。

大泉さん:台本読んでますよ!

細田監督:まあアニメですから、その場で台本読んでもなんとかなりますし。

大泉さん:その場じゃないですよ、読み込んでますって! やっつけじゃないです。役所さん、なんていうこと言うんですか。あなたが言うとそう思われるんです。現場でやっつけでやってるって……。

役所さん:大泉くんは、かーるくやってるんですよ。

大泉さん:軽くやってるのはリリーさんですよ!

リリーさん:僕は軽くやってるんじゃなくて元気がないだけ(笑)
僕もブタの役だって聞いて、ブタに似てるかな?と。細身のブタってレストランのイベリコ豚の生ハムくらいしか観たことがないんですけど、絵を見たらすごく似ていました。僕もパンフレットを読んだら顔で選んだって書かれてて。この2人、顔枠だったんです。

バケモノの子

細田監督:本作に登場する一郎彦って宮野真守くんがやってるんですけど、宮野くんもある意味、顔ですよね。宮野くんすごくかっこいいでしょ。一郎彦の雰囲気すごく反映してるんですよね。

顔っていうか雰囲気というか、持ってる人間性が近いというのがすごく重要というか。アニメーションなんで、実は声以外のものいろんなものが伝わってしまうんです。演者の魂が込められているというのが伝わってしまうという、アニメーションのおもしろいけど怖い部分があって、その部分でキャラクターとずれないように、キャラクターが本当に生きてるように思えるように人物を選ぶと雰囲気や魂、それが端的にいうと顔ということになるのです。

大泉さん:監督はずいぶん端的に言いすぎたんですね。今の説明を聞くとしっくりきました。全部端折って顔ですって言われるとサルとブタになっちゃうわけで。

細田監督:百秋坊はすばらしいですよね。リリーさんのラジオのリスナーでもあったというところもあって、リリーさんの落ち着いた声の魅力っていうか、それでいて聞き慣れない特別なヒビキが好きで、今回お願いできて光栄でした。そんなこと言い出せばみなさんそうなんですけどね。

役所さん:リリーさんは、もっとも体力使ってないですよね。こっちは隣で汗だくでやってるんですけど。

リリーさん:大泉さんは体力も記憶力も使ってませんて言ってましたもんね。

大泉さん:言ってませんって! 台本見てなきゃできないですよ、あれ。

役所さん:津川さんも体力使ってない感じでしたね。

バケモノの子

津川さん:いまさ、声を当てるのがうまくないおっさんって言われて傷ついてるんだよ、俺(笑)

僕は品ですよ。品位。監督が求めたのは僕の品なんです。バケモノの子も役所さんの役も異端児なんです。僕の演じた宗師はその異端児を無条件で認めるんです。いちばん最初に買うんです、この二人を。宗師の買い方っていうのがあるわけですよね。それは品があって、周りを納得させるんです。

この人が味方してるんだからこの人が間違いないと観てる人は思うんですね。だから宗師に必要なのは、この人が選んだんだからこの人は絶対にハッピーエンドをもたらしてくれるだろうという品。

育てる者が実は育つという、このテーマを、役所さんと宮﨑さん・染谷くんが演じるこの二人がそれをやってくれるでしょうけど、僕はそれをはじめから育てる者が育つんだと思ってました。

僕自身が娘育てて本当に父親にさせてもらいましたからね。そういう経験があるので、育てる者が育つというこのテーマはすばらしいなぁと。宗師には僕が必要だなぁと。卯年だし。

細田監督:すごく端的にこの映画のテーマを表現していただいて、ほんとに改めて津川さんはさすがすばらしいなと感服しました。

この映画を作りはじめた3年前に子どもが生まれまして、男の子なんですけど、父親っていうのはなんだろうみたいなことを思ったときに、とにかくいろんな人が一人の人を育てていくんだ、そして育てて育てられてという関係性があるんだろうなと考えました。その時、自分の子どもっていうのは自分以外の人にうまく育てられるように、そういう運があるといいなと思ってこの映画を作りました。ぜひ多くの方に観ていただければと思います。

→『バケモノの子』完成披露会見の前編はこちら

→『バケモノの子』完成披露会見の後編はこちら

バケモノの子

『バケモノの子』
7月11日、全国東宝系にてロードショー

©2015 THE BOY AND THE BEAST FILM PARTNERS

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