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Vol.199 『U・ボート』

U・ボート ディレクターズ・カット観賞映画振り返りコラムの70回目は1982年に観た『U・ボート』。ここからようやく1982年に入ります。先はまだまだ長い……。この作品は友人と二人で松竹セントラルで観ました。
第二次世界大戦中に大西洋で活躍したドイツの潜水艦U・ボート。その壮絶な戦いをリアルに描いた戦争映画。西ドイツ製作の映画がメジャータイトルとして公開されたのは珍しかったという記憶があります。ハリウッド製作の戦争映画で、第二次世界大戦を描いた場合には主役はアメリカを中心とした連合軍であり、ドイツ側の視点で描かれたというのも初体験でした。


この頃の戦争映画といえば、ベトナム戦争を舞台にした反戦映画が中心となっており、ヒーロー的な活躍をみせる戦争映画は敬遠されがちだった時代。この作品も、その影響もあってか、反戦映画的な終わり方となります。

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潜水艦が出てくる映画は数々ありますが、この映画ほどその戦い、生活といった部分をリアルに描いた作品はないと思います。敵である駆逐艦との戦いで、海底で息を潜めて船が通り過ぎるのを待つシーンの緊迫感、潜水艦を潜航させる、あるいは浮上させるために艦のバランスを変えるために走る兵士たち。水圧できしむ音、さらに水圧のために飛び交うボルトの恐怖。どれも、英雄ともてはやされた潜水艦乗りのイメージとはほど遠い描写で、ある種のカルチャーショックを覚えたものです。
大西洋での戦いですら気の遠くなるような緊迫感に包まれているにも関わらず、軍からの指示は対岸まで12kmしかない、とても狭いジブラルタル海峡を突破して地中海へ入ること。この指示が届いたときの絶望感は観客にもひしひしと伝わります。映画を観ているというよりも、自分がU・ボートの乗務員になったかのような錯覚すら覚えます。
その絶望の先に待ち受ける喪失感と悲壮感。戦争の虚しさを描いたラストシーンは映画史上に残る名シーンです。

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また、この作品の音楽がすばらしい。U・ボートが海を駆け抜けるかのような勇壮な曲は、いまでもいろいろなテレビ番組のBGMとして使われているので、この映画を観たことがない人でも音楽は聴いたことがあるんじゃないかと思います。この映画のことを思い出すとすぐに頭の中を駆け巡りますますね。
この作品はウォルフガング・ペーターゼンが監督し、これをきっかけにしてメジャーになったことでも有名です。『トロイ』『ポセイドン』といった作品でもわかるように、重厚な演出をする監督ですが、この『U・ボート』がなんといっても代表作と私は思っています。

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この作品から16年後(日本では15年後)に、ペーターゼン監督によるディレクターズカット版が公開され、さらに厚みを増した作品として生まれ変わりました。その『U・ボート』ディレクターズカット版が今週末から2週間限定でリバイバル上映されるとのこと。このコラムはそのタイミングに合わせたわけではないのですが、ちょうどいいタイミングでしたね。
DVDやBlu-rayもすでに発売されていますが、この作品は暗い映画館の中で観ることで、その臨場感を味わえる作品だと思います。まだ観たことがない方にはぜひ一度観てほしい、観て損はない作品です。
『U・ボート』ディレクターズカット版は9月28日から、角川シネマ新宿にて2週間限定の特別上映となります。
(C)1981 Barvaria Film GmbH, (C)1996 Barvaria Film GmbH
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