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テレンス・マリック監督を語りつくす『トゥ・ザ・ワンダー』トークショー

“生きる伝説”テレンス・マリック監督を新婚ホヤホヤ松江哲明監督が語りつくす『トゥ・ザ・ワンダー』公開記念トークショー
昨年ベネチア国際映画祭コンペティションに出品され話題を呼んだ、ベン・アフレック主演、テレンス・マリック監督最新作『トゥ・ザ・ワンダー』が、いよいよ8月9日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほかにて全国公開されます。
現在、本作公開記念として、“テレンス・マリック特集上映”を開催中の吉祥寺バウスシアターにて、7月31日(水)、『フラッシュバッグメモリーズ 3D』などで知られる松江哲明監督とライター・編集者の門間雄介氏を迎え、テレンス・マリック作品の魅力に迫るトークショーを開催しました!

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実施日:7月31日(水)
会場:吉祥寺バウスシアター
登壇者:松江哲明氏(映画監督)、門間雄介氏(ライター・編集者)
40年を越えるキャリアのうち監督作はこれまでわずか6本と寡作ながら、その一つ一つが芸術作品ともいえる高い完成度を誇り、今回特集上映で上映されている『天国の日々』でカンヌ国際映画祭監督賞、『シン・レッド・ライン』でベルリン国際映画祭金熊賞を受賞しているテレンス・マリック監督は、『トゥ・ザ・ワンダー』の主演をつとめたベン・アフレックはじめ、多くの俳優が一度は出演したいと熱望する、まさに“生きる伝説”。
この日のゲストで、「マリック監督の第一作目『地獄の逃避行』(1973年)が特別好き」と話す松江哲明監督は、実はつい先日ドイツ人女性と結婚され新婚旅行から戻ったばかり!
トークショー冒頭、スタッフからお祝いの花束をプレゼントされ、「(恋愛の話でもある)『トゥ・ザ・ワンダー』を観ると、色々身につまされますよね」と、にこやかに最新作の感想を話し始めた松江監督はまず、「相変わらず、やっちまってんなぁと(笑)。語り尽くされた物語を、マリックが描くとこういう風になるのかと。常人が考えるようなものとは全然違う文体というか文法で語るなと思いましたね。今、日本では、例えば映画の訓練をしていない人、TVのディレクターさんなどが映画を撮ったり、自主映画でも、ある意味映画の文法にとらわれて映画を撮っている人が多い中、本当にオリジナリティある独自の文体を持ち、この人たちがどんなテーマで語っても、この人たちの映画にしかならないという監督は、いまやウォン・カーウァイと、テレンス・マリックくらいじゃないですか」とその独自性を解説。
門間雄介氏も「すでにマリック作品は、それぞれに何がどのように描かれているかなどを超越し、マリックが監督している作品だから、それだけで事件性があって観なければいけないと思わせる稀有な監督、言い方変えれば、天然記念物、トキみたいな存在でしょうか(笑)。そういう監督が本当に少なくなってきていると思います」と続け、「また、これまでの監督作全体を観ると、『ツリー・オブ・ライフ』(2011年)以降のテレンス・マリックの過剰さは際立ってきていますが(笑)、何を描きたいかに関しては、第一作目『地獄の逃避行』から全く変わってない、一貫していると思う。」と、画一化された映画が多くなってきた中での異才ぶりに言及する。
さらに、「マリックの映画は物語を味わうのではなく、“体験する”という醍醐味があるのでは。例えば、『シン・レッド・ライン』(1998年)は戦争映画というイメージではなく、普通の戦争映画によくあるようなアクションシーンの迫力とかとは、全く違う観点でとらえている。」という指摘には松江監督も大きく賛同し、「できるだけ、そのときの状況というか、物語の時間そのものを、観客に疑似体験させるような作り方になっているなと感じている」とつづけた。
また、その独特ともいわれる製作スタイルに話が及び、非常に時間をかけて行う編集や、一方撮影はしたけれど、それが著名な俳優だとしても全部カットしてしまうこともあり、『トゥ・ザ・ワンダー』でも実際にレイチェル・ワイズの出演シーンがすべてカットされたことが暴露されると、会場からは驚きの声も!
そういった製作スタイルについて、門間氏から「撮影段階では撮っていても、それを編集するときにはカットしてしまう、ということを思うと、撮影はまさに編集するときの素材撮りに近く、編集の段階で自分のアイディアが変わっていって、着地点が変わっていく、そういうプロセスを楽しんでいるような気がするのですが」という問いかけに対し、松江監督は「そういう作り方は劇映画というより、ドキュメンタリーの作り方に近いなと思いますね。ドキュメンタリーでは、撮影しているときは作品で使うつもりで撮っていますが、編集でばっさり切ってしまう、ということはよくありうること。ただ、ハリウッドの大スターを出演させて全カットするのはオイオイ(笑)と思いますよ。そこがまさに“生きる伝説”なんですね」と作り手ならではの興味深く、鋭い指摘も語られた。
最後は「『トゥ・ザ・ワンダー』も度胆を抜かす作品であることは間違いないので、ぜひ劇場でご覧ください!」と締めくくられ、謎多き巨匠テレンス・マリック監督に迫るトークショーは終了となりました。

監督・脚本:テレンス・マリック
出演: ベン・アフレック、オルガ・キュリレンコ、レイチェル・マクアダムス、ハビエル・バルデム
配給:ロングライド
『トゥ・ザ・ワンダー』
8月9日(金)TOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー!
(C)2012 REDBUD PICTURES, LLC
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