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Vol.182 『009 RE:CYBORG』

009 RE:CYBORG THE COMPLETETOHOシネマズ錦糸町にて『009 RE:CYBORG』を3D上映にて観賞。神山健治監督が『サイボーグ009』をオリジナルストーリーで現代に蘇らせた作品。
高層ビル連続爆破テロに挑む、27年振りに結集した9人のサイボーグ戦士。「彼の声」に導かれた者たちが引き起こすテロ事件。009こと島村ジョーもまた、その声によって六本木ヒルズを爆破しようとしていた……。行方不明となったグレート・ブリテン、ピュンマ、見え隠れするアメリカの陰謀、そして「彼の声」の正体とは? 様々な謎の先にサイボーグ戦士を待ち受ける新たな戦い!


過去の作品を現代風にアレンジしてリメイクしたり、その続きを描く際に難しいのは、現代のテクノロジーを取り込むことより、オリジナル作品の時代と社会情勢が変わってしまうこと。『007』『ミッション:インポッシブル』などのシリーズが、その敵となる対象を変えて作られているのと同様、東西冷戦という時代背景で描かれた『サイボーグ009』もまた、脅威の対象を変えた作りをせざるを得ません。
人類の戦いの陰で暗躍してきたブラックゴーストとの戦いという、勧善懲悪のヒーロー物として誕生した009。原作自体も時代とともに徐々にその路線が変更され、UFOやタイムトラベル、古代文明、そして神々との戦いといった変遷をたどりました。
そしてみなさんご存じの通り、原作者である石ノ森章太郎さんはその結末を描くことなく他界され、009は未完の物語となりました。その最後の作品が掲載されたのが27年前。今作は、その間ちりぢりとなっていたゼロゼロナンバーサイボーグたちが、それぞれの時間を過ごした後の物語になっています。
何が正義で、何が敵なのかがわかりにくくなっている現代まで、サイボーグ戦士たちがどのような時間を過ごしてきたのか。戦いの舞台から退いても、それぞれの信念で世界のことを考えて行動してきたであろうサイボーグ戦士たち。アメリカ国家安全保障局に在籍しているジェットをみても、時代の流れに関わらず、世界平和を陰で支えてきたのだという想像ができます。このあたりの構成力はさすが神山監督という気がしました。
勧善懲悪のヒーロー物にリアリティがなくなっているこの時代に、どのように009たちを展開させるのか?を考えるのは本当に難しかったんじゃないでしょうか。それを、独特の世界観、宗教観を交えながら作り上げた手腕は見事です。

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絵のクォリティもとても高かったですね。むやみやたらと3Dで作って、その必要があるのか?と疑う作品もわりと多い中、この作品の3D表現はとてもすばらしかったです。以前マスコミ試写で『攻殻機動隊 S.A.C SOLID STATE SOCIETY 3D』を拝見させていただいた際、2Dで作られたもの3Dにアレンジしている作品なのに、その効果を最大限に活かしていたのを観てすごいなと思いましたが、今回は初めから3Dとして作っているので、計算された臨場感を存分に味わえました。
特にすごいのは奥行きのある遠近感。その距離がとても自然で、3D映画はこうあるべきという見本となるような出来映え。また、3Dだからといって、無理矢理手前に飛び出すようなシーンがないのも好感が持てます。ナイフが飛んできたり、カメラに向かって銃を撃ったり、剣を突き出したり……3Dじゃなかったらそんな撮り方しないでしょ?というシーンがない。このほうが絶対にいいですよね。
また、3Dによる表現として、ジョーの加速装置による動きや、高層ビル、空といった3次元をフル活用できる舞台でのアクションシーンなども、その効果をフル活用し、迫力ある画面に仕上がっています。その上に川井憲次さんのビートの利いたBGMが乗っかって、絵と音で、まさに圧倒される感じです。これは映画館ならではの楽しみですね。

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今回の島村ジョーは宮野真守さんが演じています。009というと森功至さん、井上和彦さん、櫻井孝宏さんと、ヒーロー物ではおなじみの方々が声を担当してきましたが、宮野さんもヒーロー多いし、うってつけかなと思っていたのですが、これまでの宮野さんの演じ方とはかなり違うという印象を受けました。
「俺たちがガンダムだ!」とか「俺はセブンの息子、ウルトラマンゼロだ!」というような熱い感じではなく、どこか繊細なイメージのキャラクターという雰囲気で、初めて観る島村ジョーでした。以前、宮野さんにインタビューさせていただいたことがあるのですが、そのときに感じた印象に近い気がします。宮野さんの素の話し方などに似てるなと思いました。
そうそう、キャラクターでいうと、この作品で特筆しないといけないのはなんといってもフランソワーズですね。もう我々の知っているフランソワーズじゃない! 下着姿でジョーに迫るし、ここまでセクシーでアクティブなフランソワーズはいままでなかったんじゃないでしょうか。サービスカット満載(^O^)
しかしのあのプロポーションだと……もうバレリーナは難しいでしょうね(^_^;)
個人的にはグレート・ブリテンと張々湖のコンビによるひょうきんなシーンがなかったのが少々残念ですが、全体がシリアスなので仕方ないというところでしょうか。
ジェットやハインリッヒのディテールがかなりリアリティを持たせたデザインになっている点も、私の中では評価が高いです。ジェットは、ゼロゼロナンバーサイボーグ解散の際にジョーとなにやら確執があったようですが、どのようなことがあったのかがかなり気になりますね。ジョーとジェットについては原作ファンが必ず反応するであろうシーンも用意されているあたりは憎い演出です。

ストーリー、作画、アクション、音楽、どれをとってもクォリティの高いこの『009 RE:CYBORG』は、2D・3Dともに全国大ヒット公開中です。
(C)2012「009 RE:CYBORG」製作委員会
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