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Vol.177 『プロメテウス』

プロメテウスTOHOシネマズ錦糸町での先行上映にて『プロメテウス』を3Dで観賞。リドリー・スコット監督の最新作。
元々この『プロメテウス』は『エイリアン5』としての企画が『エイリアン』の前日譚として派生し、発表された後、『エイリアン』とは分離していった作品。ちまたでは『エイリアン0』とか『エイリアンビギニング』というような書き方がされていますが、『エイリアン』に直接つながる話ではありません。舞台となっている星も違うし。


かなり前、確か80年代だったと思うのですが、リドリー・スコットは続編には興味がないということをインタビューで答えていました。だから『ブレードランナー』の続編企画は断ったし、『エイリアン2』はジェームズ・キャメロンが撮ることになったと。そのリドリー・スコットが、自身の出世作とも言える『エイリアン』の続編的作品を撮ることにしたのはどういう心境の変化があったんでしょう?
私はこの作品について、久しぶりにリドリー・スコットらしさがあふれる作品だと感じました。いくつものキーワードをあちらこちらに散りばめ、明確な答は提示せずに観客にゆだねる。観る者によって様々な解釈が生まれたり、その謎について議論が起こったりする。70年代から80年代のSFブーム時代の作品は、どこかそういうところがあり、観客を巻き込んだムーブメントを作ることでさらに世界が広がっていくといった感じがありました。
この作品はまさにそのころのSF映画の雰囲気を持ち、様々な伏線と解釈が生まれる作りとして撮られていると思います。この点が、リドリー・スコットがこの作品を作ることにした理由の一つなのではないかなぁと勝手に解釈しています。

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エイリアンは、第1作ではとても神秘的で不気味で、得たいの知れない生物でした。ところが『エイリアン2』では派手なアクション映画となり、その後は神秘性が感じられる生物ではなく、単にモンスターとしてのキャラクターばかりが強調されるようになりました。プレデターと戦ったりもしましたし。リドリー・スコットはこの作品で、そのエイリアンを再定義したかったんじゃないかなという気がします。
この作品は「人類最大の謎<人類の起源>に迫る」というコピーで宣伝されています。そして、人類を作った創造主としてエンジニアという存在があり、そのエンジニアと人類の対話によって人類誕生について描こうとしています。それに対してエイリアンがどう関係してくるのか? ここがまさにこの映画のポイントです。
『エイリアン』は『プロメテウス』の40年くらい後の話となります。あの作品で登場した大きな異星人の死体のある宇宙船は、信号を発信してノストロモ号を呼び寄せました。そこで人類は初めてエイリアンに遭遇するわけですが、これは単なる偶然だったのでしょうか? そして偶然だったとしたら、なぜノストロモ号の親会社はその生物の存在をあらかじめ知っていたかのように捕獲しようとしたのでしょう?
その答がこの作品で描かれていると考えると、いろいろつじつまが合ってきます。エイリアンは寄生する相手の能力を取り込んで進化していく生物です。その進化のために人類が必要で、特に子を産む存在である女性が必要とされたのだとしたら? 人類誕生はエンジニアの手によって最初からそこまで計算されて作られた存在なのかも知れない……。
こんなふうにパーツが提示され、想像をめぐらせることができる作品は、まさにリドリー・スコットの真骨頂だと思います。逆にいうと、すべてをあからさまに提示されないとわからない、理解できない、だからつまらないという考えの方にはつらい作品ですね。
また、この映画にはもう一つ軸があり、親子という間柄について描かれています。人類の親としてのエンジニア、後にノストロモ号を運行させるウェイランド社の社長とアンドロイド、子が産めないはずの主人公の妊娠……。これらの対比が、人類誕生に加え、その後の血のつながりというものを示唆しているようにも取れるのですが、ここの描き方はちょっと遠すぎたかなぁという気がしなくもないです。ここがもう少しうまくこなれていたらよかったなという気がします。
『プロメテウス』はすでに続編製作が発表されています。リドリー・スコットが撮るかどうかはわかりませんが、もし実現したら初めての、直接の続編となります。想像でしかないエンジニアの思惑が具体的に明示されるのか? 『エイリアン』との間が埋まり惑星LV-426の話となるのか? それともまったく別のアプローチとなるのか。久しぶりに待ち遠しい続編映画になりそうです。
『プロメテウス』は8月24日(金)からTOHOシネマズ日劇他にて全国ロードショーです。
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