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Vol.175 『デンジャラス・ラン』

Safe House完成披露試写にて『デンジャラス・ラン』観賞。デンゼル・ワシントン主演のサスペンスアクション映画。
デンゼル・ワシントンが演じるフロストは、かつてCIA史上最高と言われた諜報員。祖国を裏切り、国家機密を売買する危険人物として36ヵ国から指名手配を受けているフロストが入手した情報を巡り、様々な思惑が渦巻く逃避行が始まる!


このフロストと対照的に描かれるのがCIAの隠れ家の管理人であるマット(ライアン・レイノルズ)。情報工作員として活躍したいがその力を示すチャンスが与えられず、南アフリカで退屈な日々を送っていたマットのもとに、護送されてきた伝説のエージェント・フロスト。急襲を受け、壊滅状態となった隠れ家から逃げる2人……。
このように書くと、お互い相容れない者同士が一緒に逃げるうちに、お互いへの理解を深めていくという、よくあるバディ物のように感じるかも知れません。私も映画を観るまではそういう映画だろうと思っていました。しかしこの作品は、フロストはマットを、マットはフロストを利用することを目的としていて、そんなほのぼのとした友情物語にはなっておらず、2人の間からも緊張感が伝わってきます。
フロストが入手した情報を狙う敵の正体もわからず、さらにCIAからの支援も得られない状況で、人をたらし込むことが得意なフロストを連れて別の隠れ家を向かうマット。「自分が信じている正義」への心のゆらぎが生じるとき、観客もまた、マットの思いにシンクロしてぐいぐい引き込まれていきます。
それは、なんといってもデンゼル・ワシントンの演技のなせる技。悪人であるフロストの言動にだまされないぞというつもりで観ていながら、どこかで「本当は味方なんじゃ?」という気持ちになってくる。しかし、そこで突き放される(^o^) さらに、周囲の状況が謎だらけで、誰が味方で誰が敵だかわからないストーリー展開も手伝って、観客は、いつのまにかマットの視点でフロストを観ているんですね。これが非常にうまい。サスペンスとしては一級の作品だと思います。
それから特筆すべき点としては、やはりアクションですね。ケープタウンを舞台に繰り広げられるカーアクション、それから銃撃戦。ハンディカメラを多用し、まるでその場にいるかのような緊迫感で展開されるアクションシーンはかなり迫力があります。CGもワイヤーアクションもない生のアクションシーンはやっぱりいいです。作り物ではない本物の迫力があります。
また、これまであまり映画などで登場しなかった南アフリカというロケーションがいいですね。都会があったり、何もない原野があったり、貧民層が暮らしている街やワールドカップで使われたサッカー場など、同じ国の中でありながら画としてのバリエーションが豊富で、こういう事件が起きても不思議でないようなリアリティを感じさせてくれます。
最初から最後まで気の抜けない緊張感あふれるストーリーとアクションが楽しめる『デンジャラス・ラン』は、9月7日からTOHOシネマズ 有楽座ほかにて全国ロードショーです。
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