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Vol.156 『1911』

マスコミ試写にて『1911』観賞。ジャッキー・チェン出演100作目にあたる記念作品。
清王朝末期の中国を舞台に、列強に蹂躙される祖国を憂い立ち上がった者たちによる革命と中華民国成立を描いた歴史物。この作品の主役は孫文で、ジャッキー・チェンはその盟友である黄興を演じている。


この話は、溥儀も登場しますし、同時期であるがゆえにどうしても『ラストエンペラー』がひきあいに出されてしまうのではないでしょうか。あちらが清王朝の終焉から、復興を夢見て日本に利用される皇帝の話なのに対し、この作品は、その清王朝を倒し民主国家を成立させる革命家・孫文とその仲間の革命軍をフィーチャーしています。
中国は日本の隣の国であり、この時期、戦争や大陸進出という部分でどうしても歴史的にからんでくるにも関わらず、この辛亥革命については日本ではあまり語られていない気がします。そういう部分で非常にとっつきにくいですし、登場人物も多いため、すっと理解できない感があります。
それぞれの登場人物のバックグラウンドが非常にわかりづらく、掘り下げ方も足りないため、孫文と黄興、それから清王朝の家来でありながら権力を掌握しようとする野心家・袁世凱以外の登場人物がつかみきれません。それぞれにいろいろなドラマがあって、この革命に身を投じていくわけですが、感情移入する間もなく退場してしまうことが多くて非常にもったいない感じでした。
また、そういう部分を映像ではなく文字で説明しようとする場面が多かったのも気になります。字幕の出し方も左に原文の説明、右に日本語の説明、さらに下にセリフの字幕といった感じで忙しいこと忙しいこと。吹替版で観れば多少楽なのかも知れませんが、ちょっと厳しいなぁという感じは否めません。
物語としては、衰え滅びゆく祖国を立ち直らせるために奔走する人達のドラマということで、非常にいい題材ですし、どこか『アラビアのロレンス』のような雰囲気もあって興味深い内容ではあります。革命から100年。国の成り立ちについての理解を深めるにはとてもいいのではないでしょうか。
革命というのは理想をもって進められ、その先にある理想的な姿を夢見て人々は蜂起するわけですが、どうしても犠牲も出てきます。日本でいうところの戊辰戦争や西南戦争という感じですね。そこにはそれぞれの考えや理想があり、ぶつかりあい、誰もがいい未来を信じて戦ってきたわけで、映画ではそういう部分が描かれることが多いと思います。
しかしこの作品では、どうもその後味がよくない。ぎらぎら野心が見え隠れする袁世凱の存在があるからかも知れません。この映画で描かれた話の後、袁世凱が原因となる国家の混乱がまたあることを我々は知っているわけで、そこでどうもいいエンディングに感じないのかなという気がします。
中華民国を建国した方々の志などを描いたこの作品、中国の方はどのように感じるのかなぁというのはちょっと興味があります。
観に行かれる方は、このあたりの歴史を少し予習をしていったほうがいいかも知れません。
『1911』は11月5日から丸の内TOEI他にて全国ロードショーです。
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