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Vol.152 『スーパーマンII 冒険篇』

スーパーマンII 冒険編観賞映画振り返りコラムの57回目は1981年に観た『スーパーマンII 冒険篇』。一般試写で丸の内ピカデリーで観ました。
スーパーマンと言えば、その名を知らない人がいないくらい有名なアメリカンヒーロー。しかし悪と戦うヒーローとしての描かれ方が主で、スーパーマンそのものの物語にスポットを当てた作品はありませんでした。その誕生から地球へきて、ヒーローとして活躍するようになる下りを描いた前作『スーパーマン』と合わせ、当初2部作として企画された後編がこの話となります。しかしリチャード・ドナー監督の途中降板などでその構成自体が崩れてしまうのですが。


SFブームの中で様々な撮影技術が新たに登場しましたが、スーパーマンの物語ではやはり空を飛ぶシーンが肝であり、やわらかいマントの背景をきちんと合成できるかどうかが重要でした。前作でそれはクリアしていたのですが、今回は恋人となるロイスと一緒に飛ぶ、髪の毛がたなびくシーンがあり、どうだろうと思っていたのですが違和感はありませんでしたね。今のようにコンピュータを使ってという時代ではないですから、ポスプロはけっこうたいへんだったんじゃないかと思います。
実はこれを観たとき、前作を観ていませんでした。「なぜスーパーマン?」という気持ちもあってまったく食指が動かず……。今と違ってビデオがあるわけでもなく、テレビ放映も数年後という時代でしたから、この試写までに前作を観る機会がなく、だいじょうぶかな?とも思ったのですが特に前作を観ていなくても問題ありませんでした。続編というのはこのように独立して楽しめるものでないといけないと考えるようになった原点でもあります。
もちろん2部作として企画されたものなので、前作からつながっている部分も多数あります。敵となる3悪人は、前作の冒頭で宇宙空間に幽閉されたクリプトン星の反逆者ですし、天才犯罪者を名乗るレックス・ルーサーも引き続き登場。前作を観ているとさらに楽しめる要素というところでしょうか。
今作は、ロイスへの愛のために能力を捨てて普通の人間に戻るクラーク・ケントに対し、スーパーマンと同等の力を持った3悪人の襲来によって地球が危機に陥るというストーリー。この普通の人間に戻るという展開が非常に興味深かったです。
ヒーロー物というと敢然と悪に立ち向かう姿を描くというのが王道であり、あまり主人公が悩んだり、ましてや力を捨ててしまうなんてことはなく、心身ともに強いという話が多いと思います。アメリカンヒーローともなると、その傾向がさらに強い。しかしこの作品では能力を捨ててまで恋人と生きていくことを選択するヒーローが描かれるわけです。
さらに、能力を失ったことで、初めて自分の血を見て驚いたり、敵がきたときに普通の人間である自分がいかに無力であるかを思い知る。このあたりのクラーク・ケントの心の葛藤の描かれ方がヒーロー映画としてはとてもおもしろかったですし、この後の作品にもいろいろ影響を与えたのではないでしょうか。
戦闘シーンなどでのアクションなども見応えありましたし、個人的には前作よりおもしろいといまでも思っています。前作はどうも冗長な感じがあったので。
残念なのは、3悪人が敵として強烈な印象を残す分、ジーン・ハックマン演じるレックス・ルーサーの印象が弱くなってしまったことでしょうか。観たときに、登場の仕方などにどうも無理があるというか、違和感があったのですが、リチャード・ドナー監督の降板によって前作も含めて構成が変わったせいだったみたいですね。近年、最初のコンセプトに基づいたドナーCUT版というのができたそうなんですが、これはまだ未見でして、機会があれば観てみたいと思っています。
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