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Vol.140 『プリンセス トヨトミ』

プリンセス トヨトミ オリジナル・サウンドトラックTOHOシネマズ有楽座にて『プリンセス トヨトミ』観賞。以前はニュー東宝シネマ1という名前の映画館でしたが、リニューアル後、この名前に。かつて日比谷にあった日本屈指の大劇場の名前を引き継ぐにはちょっと小さいイメージ(といっても700席以上)。そういえばシネマ2はいつなくなったんだろう?
映画のほうは万城目学原作の奇想天外な物語の映画化。未見の方は極力情報を入れないで観ることをお薦めします。
冒頭から大阪夏の陣の合戦シーン、大阪に行ったことがない人でもテレビなどで必ず観ているような場所に人や車がまったく存在しない光景がスクリーンに映し出される。その誰もいない大阪を一人走る綾瀬はるか……。なんとも不思議な感覚で始まるこの物語、SFチックな話なのかと思っていましたが、実はとてもよくできたヒューマンドラマでした。


国の税金が適正に使われているかどうかを調べる会計検査院のエリート松平(堤真一)はその調査の中で大阪にある組織に疑念を抱く。その調査を進めるうち、その組織は大阪の陣の後、豊臣家の血筋を守り続けてきた大阪国の存在にたどりつく……。
昔から豊臣の血筋は秀頼で絶えたわけではなく、その子孫がいるとか、島原の乱はキリシタンの反乱ではなく豊臣家再興をかけた戦いだったとか、史実ともホラ話とも言えない話はたくさんありますが、それは人々の小さな願望が膨らんだ結果であることが多く、この物語ではそれが、徳川の世をよく思わない大阪の人々の総意として受け継がれたものとして描かれています。
こうした物語は総じてファンタジーのようになりがちですが、そこに会計検査院という職業を持ち込み、現実世界からかけ離れないようにしていることで、物語のテーマに深みを持たせる結果につながっているのは原作がよくできている結果ではないでしょうか。
豊臣の子孫を守るために何百年もの間、その秘密を父から息子へと受け継いできた大阪の男たち。それは同時に、父親の子どもへの想いと、次の世代へ託す想いのバトンタッチであり、男として生まれてきた者が一度は通る道。親から最期のバトンタッチを受け取れなかった男・松平。数百年親から子へ受け継がれた大阪中の想いを代表する男・真田(中井貴一)。この両者を対峙させることで父と子の接し方・あり方を観客にふと考えさせてしまう……。きちんと父親からバトンを受け取ることができなかった私個人としてはやられたという感じの映画でした。
ラスト近く、松平と真田の二人が大阪府庁舎で対峙するシーンは、かなりの名シーンだと思います。数千人のエキストラという迫力もさることながら、二人の対話だけで進行するのに観る者を惹きつける絵になっており、この物語のクライマックスにふさわしいシーンになっていました。
話が奇想天外な設定であること、すべての登場人物のバックエンドを描く時間がないことで、つっこみどころもたくさんありますが、それが全体のジャマをしていることはなく、むしろそこに想像をめぐらせるほうが楽しめると思います。重箱の隅をつついて映画批評といっている文章をたまにみかけますが、木を見て森を見ずという気がしますね。
年老いた父親を持つ人、息子を持つ父親、父親に反発しがちな息子……そういった方々に観てもらいたい映画です。
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