MOVIEW SNS:Bluesky Threads Twitter Instagram YouTube

ジョニー・デップ『ツーリスト』来日記者会見、ジャパンプレミア

ジョニー・デップ「旅行に行く時は、一枚だけ金貨をもって行きます。緊急事態のために持っていないと、金歯を取り出すことになるかもしれないので。(笑)」
●『ツーリスト』来日記者会見
日時:3月3日(木) 13:00
場所:六本木 アカデミーヒルズ49 タワーホール
登壇者:ジョニー・デップ、フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督
特別ゲスト:真矢みき
マスコミ人数:スチール100台 ムービー40台 記者300人 総取材人数:500人
司会:ひとことご挨拶を
フロリアン監督:東京に戻って来れてエキサイティングな気持ちです。暖かい歓迎をありがとうございます。以前、『善き人のためのソナタ』で来日したときは、プレスの皆様には大変いい記事を書いていただき、暖かく迎えられまして、ありがとうございました。昨日は国立博物館に行き、日本の文化にどっぷりとつかりました。
ジョニーは8回目の来日と聞き、僕は2回目なので近いうちにその記録を抜きたいです。
ジョニー・デップ:みなさん、こんにちは。日本に戻ってくる時はいつも幸せな気持ちになります。いつもマジカルな体験です。
ただ滞在が短すぎるのが残念です。いつもみなさん、あたたかく迎えてくれてありがとうございます。日本の人々はやさしいです。僕が奇妙なことをやってもいつも受け入れてくださる、そういう度量があり、戻って来れてうれしいです。ありがとう。


Q:2人が「ツーリスト」という言葉に抱いてる印象、想像する言葉は?
また「ツーリスト」の主人公フランクが電子たばこやパジャマを持っていくように、お二人がプライベートで旅行に持っていくものとは?
フロリアン監督:どこかで読んだことを思い出したのですが、「ツーリストというのは観光客というのは、どこかへ行って自分が見ることを期待してそのまま見て帰る人」という定義があったんです。
それに対して「トラベラーというのは、見て回ったものをそのまま見てとる」というふうに書いてあったんですね。この映画もみなさんが思い描いているのとは違います。いろんな驚きが全編を通してあり、そのことを意識してつくりました。またジョニーやアンジーと一緒の映画事体、驚きの連続です。私はジョニーの映画をたくさん見ていて、たぶん彼とは彼がでている映画を通して30時間過ごしているのに、ジョニーのことが全然わかっていないと思いました。それだけ、ジョニーはいろんな面を持っていて、サプライズを見せてくれる人だと思います。よって今回の映画もサプライズがいっぱいあります。
いつも旅行に持っていくものは、、、昔の話ですが、子供の時から人形と遊ぶのが大好きで、でも男の子はタブーとされている中、どこに行くにもたくさんの人形を持っていったんです。ところが親に叱られ、ひとつだけならいいといわれて、いつも一番好きな人形をもっていったのを覚えています。
ジョニー・デップ:ツーリストという言葉から思い浮かぶのは、バミューダー・ショーツをはいたアメリカ人の観光客がパリについて、コカコーラをくれとか、いますぐポテトを持ってこいと命令口調でいうイメージですね。
僕が演じるフランクは少しそういう部分があります。彼は凝り固まったタイプですが、次第にどういう人物かが、物語が進むうちにわかってきます。
旅行に行く時は、僕は一枚だけ金貨をもって行きます。何かの緊急事態のために、持っていないと、金歯を取り出すことになるかもしれないので。(笑)
Q:映画『ツーリスト』はどういう旅でしたか?
ジョニー・デップ:オファーが来たときは監督の映画『善き人のためのソナタ』を何度も見ていて、ファンでした。アンジェリーナ・ジョリーさんの映画も観ていてファンでもありました。また演じる役が興味深いと思いました。まじめで、人間的で、普通の人間の役です。普通というものが含む奇妙な部分やおもしろいもの、おかしいものをだせる役ということで、監督ともアンジェリーナさんとも非常に楽しんでやりました。
Q:ジョニー・デップさんは、いつも特徴のある役を演じますが、今回、普通の男を演じていかがでしたか?
ジョニー・デップ:監督とはフランクという役について、映画の前にたくさん話しました。フランクはハイパーノーマルな人、、超普通の人ですが、もしかしたら、普通の人というのはちょっと狂気みたいなものを持っているかもしれないね、と。そもそも普通というのは、誰が決めるものなんだ? 何が基準なんだ? そういうことを二人でかなり話しました。フランクは、ウィスコンシン州出身の数学の普通の先生だけど、彼には変わったところもあるし、電子タバコに執着していたりします。今回の役で人間の普通さというのはどういうものかを追求しました。
Q:ジョニー・デップさんはだますほうが多い? だまされるほうが多い?
ジョニー・デップ:両方です。
Q:だまされて悲しい思い出は?
ジョニー・デップ:みなさんと同じく、だまされたこともあります。そこから教訓を学び、それは仕事にも人生につきものではないでしょうか?
Q:それはどんな教訓?
ジョニー・デップ:だまされないようにという教訓です。
Q:監督に質問です。先ほど、ジョニー・デップさんの起用によりサプライズがあったとのことですが、どんなサプライズですか?
フロリアン監督:撮影中、ジョニーは常に即興をしていました。前からそういうことをする人だと分かっていたのですが、どの程度、どこまでやる人なのかはわかっていませんでした。本当にいろんなことを試すので、もしNGバージョンを集めて映画を作ったら18歳はおろか、21歳クラスにしか観せれない作品になってしまう。それぐらいいろんなことをやってくれました。いつも僕は驚かされていました。
ジョニーは極端な役が多い俳優さんですが、どんな演技もできます。一番驚いたのは、この映画で非常に微妙な、パッと見ただけではわからない狂気さを抱えた人を見事に演じたことです。殺人を犯した人の隣人に聞くときまって「あの人は普通の人だった」とよく言いますよね。ちょっとクレイジーになる可能性をもった普通の人の性格を、大げさでなく微妙に見せている。彼はマッド・ハッターやウィリー・ウォンカそしてエド・ウッドのような特徴的な役だけでなく、その「真逆」もできるということを、今回は見せてくれました。
ジョニーの演技についてもう一言。彼の演技は芸術的です。『ツーリスト』を娯楽作品と思って、芸術を期待しないで見に行った人も、たぶん驚かされると思います。ジョニーの役は派手な役ではなかったのですが、よく見ないとわからないような微妙な演技を、非常にすばらしい演技をしています。私の前作「善き人のためのソナタ」と同じぐらい、そういう題材があれば、そこで素晴らしい演技を見せてくれると思います。みなさんが期待しないところでも、いろんなことをやられています。たんなる娯楽作品と思って見に行くと芸術の発見ができるという、ジョニーとすばらしい経験ができました。
Q:アンジェリーナ・ジョリーとジョニーさんは初共演ですね。彼女の魅力は?
ジョニー・デップ:アンジェリーナさんはいろんな側面を持った方ですし、言わずと知れた素晴らしく才能のある女優さんです。彼女はなんでも演じられると思います。今回共演して発見したのは、地に足がついてしっかりした、とても頭がいい、そして面白い面もあり、そしてショックをうけるぐらい素晴らしいお母さんでもあるということ。あれだけパパラッチに囲まれた生活でも冷静さを失わないクールな側面をもっています。僕が彼女のような生活をおくるとしたら、何をしていたかわからない、今頃刑務所に入っているかもしれないな。いろんなことをこなしていける素晴らしい女性であり、素敵なお母さんです。
Q:映画のフランクのようにジョニーさんが傷心旅行に行くとしたら、日本ではどこへ行きますか?
また日本の女性の中で好きなタイプを教えてください。
ジョニー・デップ:完璧な旅行というのは日本の文化を深く知るということだと思います。京都はいまだに行ったことがないので、実現したいと思います。日本の古い文化に非常に興味があり、深く入り込みたいと思います。ということは、タイムトリップしないといけないかもしれない(笑)
Q:日本でどんな女性に出会いたい?
ジョニー・デップ:まず日本女性であること。しかも日本的な日本女性がいいです。タイムトラベルの話もしましたので、17世紀にいたような日本の女性。そういう心をもった方がいいです。
Q:この映画の撮影をきっかけにヴェネチアに家を購入したそうですが、その魅力は?
また8回目の来日で楽しみにしていることは?
ジョニー・デップ:映画の2~3ヵ月ヴェネチアに滞在して、素晴らしい街でした。噂で僕が買ったと言われているようですが、買えばよかったなと思います。いつかは買いたいです。他の人が僕のふりをして買ったのか、定かではありませんが、大好きな街です。
日本には8回来ていますが、1994年にジム・ジャームッシュと『デッドマン』で初来日してから、何回も来ています。東京の思い出を常に持って帰り、いろんな素晴らしい人たちとの出会いもあり友達もたくさん作りました。
常にすばらしく魅力的なことを発見し、何かを学び、文化についてもそれからいろんな書籍やいろんな可能性も感じます。日本にくることが私にとって楽しみでもあります。
Q:ぜひ、日本にも家をご購入ください。
ジョニー・デップ:売り出し中のいい物件あります? 連絡ください(笑)。
Q:この映画のラブシーンについて、ご家族になんと話しましたか?
ジョニー・デップ:僕はこの映画を撮っていないと言いました。何も覚えてないし、アンジェリーナ? え、なんでしたっけ? もう、忘れました。僕が映画に存在していないので観られません。いつか観るとは思うけど、その話題は避けました。
Q:この映画はどんな映画からインスパイアされたのか? 『ツーリスト2』があれば日本でやる企画はないですか?
フロリアン監督:『ツーリスト2』があれば、日本で撮影します。今、決まりました。(笑)
この映画を作るのにあたり、僕もジョニーも、アンジー、プロデューサーのグラハム・キングも観客へのラブレターとしてこの映画を作りました。各々が持っている最高のものをつぎこみ、美しく、やさしく、そして楽しいものをつくろうと思いました 。いろんなインスピレーションを受けてつくりました。子供のころに好きだったものを入れ込んで作りました。変に凝らない、カメラワークとか色へのこだわりとか、批評家好みを省き、シンプルなものを作ろうと。パリやヴェネチアを2人の美しい旅行者と観客が一緒に旅行しているような気分の映画を作りました。観客から微笑みがでるような映画をめざしました。
Q:昨日、空港でファンの子から「コアラのマーチ」をもらっていましたが、日本のお菓子のなかで一番好きなものは?
ジョニー・デップ:僕は昔からチョコレートが大好きです。チョコレート中毒。日本にはおいしいチョコレートがいっぱいありますので、どれが一番とか決められないです。
フロリアン監督:チョコ中毒と同時におもちゃ中毒でもあるでしょ。
この映画の撮影を開始したのは、ジョニーが日本から戻ってきたばかりで、私の娘たちにおもちゃをいっぱい買ってきてくれたんだ。だから彼とは永遠に盟友だよ。
ジョニー・デップ:キディランドが大好きで、いつも誰かに追い出されるまでいるんだよ。
Q:もうチョコを食べましたか?
ジョニー・デップ:食べたよ。またこの後も食べる。
<真矢みきさん 花束ゲストとして登場>
フロリアン監督:真矢みきさんには続編にでていただこうと思います。
司会:映画の感想は?
真矢:とにかく初めての感覚でした。はじめロマンスからはじまり、そしてミステリーへと入っていき、そしてコメディ?と思い、そしてまたミステリーに戻り、そして大どんでん返しで、最後に究極のロマンスに戻りました。すばらしかったです。
島国に育った日本の私としては、ヨーロッパの美しさが陸続きで、だんだん駅ごとに言語が変わっていく美しさも魅力的でした。
汽車の揺れと一緒にフランクの心がエリーズに揺れていき、自然にベニスに着くのが魅力的だと思いました。
ジョニー・デップ:自分の作品をほめられるのはいい気分です。このように才能ある素敵な方にいわれるのがうれしいです。
真矢:何が素晴らしいかって、これがジョニー・デップさん?と思えるぐらい、ジョニーさんが普通の男性を演じるのがすばらしい。もしかして、双子ですか?
ジョニー・デップ:今回は自分でも驚くぐらい普通でしたが、先ほど記者会見でも話しましたが、普通というのはどういうものか、普通の中にもちょっと奇妙な部分を微妙に出し、常に工夫しました。
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
『ツーリスト』
2011年3月5日(土)よりTOHOシネマズ日劇3ほか全国ロードショー
→『ツーリスト』の記事を探す
→ジョニー・デップの記事を探す