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Vol.117 『アラビアのロレンス』

アラビアのロレンス [完全版]デラックス・コレクターズ・エデション観賞映画振り返りコラムの46回目は1980年にリバイバル上映を観た『アラビアのロレンス』。これを観た松竹セントラルはかなり広い映画館で、そのわりに丸の内ピカデリーで上映する作品が同じことが多いためかめちゃくちゃ混んでいるということもなく、さらに2階でも観られるのあってけっこう気に入っていた映画館でした。いまはADK松竹スクエアというビルになっています。
『アラビアのロレンス』はアカデミー賞10部門受賞の名作で1962年の作品。この頃、毎年のように2週間ほどリバイバル上映していて、2、3年の間に3回観に行きました。当時絵描き一歩手前だった私は、この映画のイラストをB2サイズで描いたことがあります。あのイラスト、どこかにしまってあったかな? わりとよく描けてたんだけど……。


話は主人公であるT.E.ロレンスが事故により死ぬシーンから始まります。その葬式での彼に対する評価は様々。その本当の姿は……。この導入部が、実は彼の人生を、そしてこの映画を物語る上で非常に重要なファクターとなっているのですが、初見ではなかなか分かりません。
軍の命令でアラビアに赴任し、トルコ対アラブの戦いの果てにみる、アラブ人によるアラブ独立という夢。それが大国、部族のエゴや主張、対立によってはかなく消えてしまう。その間のロレンスの心境の変化、苦悩、失意……そしてアラブの英雄でありながら、白人とアラブ人の間でどちらからもうとまれる存在となってしまうロレンス。
その人生を縦軸に、アラブに横たわる大きな根本的な問題を描いたこの作品の見どころは、なんといってもそのスケールではないかと思います。どこまでも続く砂漠。そこに見える小さな点が徐々に近づき、やがて人影になる……。あるいは要塞攻略のためにラクダにまたがった大軍が砂漠を駆けぬける……。夕日をバックに悠然と歩くラクダに乗ったロレンス……。また、その映像にのるモーリス・ジャールの雄大な音楽。
文字にしてもうまく伝えられませんが、その壮大なスケールと、英雄となりながらも孤独な死を迎える一人の人間の対比が、さらにこの物語、そしてアラブの問題の深さを現している、そんな気がします。
砂漠を舞台とした映画は数々ありますが、この映画ほど大きなスケールで描かれた作品はないと思います。砂漠を撮ればその雄大さが表現できるかというとそういうこともなく、デビッド・リーンが砂漠ならではの特性を最大限に活かす演出をしているからこそ成り立つ映像です。CGなどではとても表現できないでしょうし、テレビサイズではなく大スクリーンで観てこそ、その価値がわかる作品ですね。
ピーター・オトゥール、アレック・ギネス、アンソニー・クイン、オマー・シャリフ……その心情がひしひしと伝わってくる出演者たちの演技も見事でした。作品としてのスケール、見事な演出と音楽、そしてすばらしい出演者……こういった作品は今後、なかなか生まれないでしょうね。こういう作品こそが本当に映画のすばらしさを伝えてくれるのだと思います。
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