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Vol.85 『アバター』

アバター遅ればせながら『アバター』をTOHOシネマズ日劇にて観賞。『タイタニック』を抜き、興行収入歴代1位となるなど全世界で大ヒットを記録している作品。しかし、どうも食指が動かず、観に行くのをためらっていました。“観る者を新しい次元の映画体験へと誘う”という売り文句にしては、予告編やパナソニックとのコラボレーションCMを観る限りがっかりしそうだなぁという感じがしていまして……。
映画としてはSF映画ではありますが、どちらかというとファンタジー映画ですね。パンドラという星の鉱物資源を狙う地球人と、パンドラの原住民であるナヴィの物語。アバターと呼ばれる遺伝子操作で作り出された肉体に地球人の精神をリンクさせ、ナヴィの村に潜り込むジェイクがナヴィの女性ネイティリと過ごすうち、その考え方に変化が訪れる……。


パンドラの大自然、そこに暮らす自然を尊ぶ種族・ナヴィ、地球上には存在しない動植物、空に浮かぶ巨大な岩……これらがすべてCGで描かれていて、さらに3Dによる臨場感もあり、その美しさはかなりのできばえ。というか、これが現在の最高峰のCG映像であることは間違いないでしょう。アメリカではその世界から抜け出せず、映画に現実逃避する人も出ているという話。
しかし、やっぱりCGはCG。その作り込みは確かにすごいですが現実に目の前にある物という認識は私にはできませんでした。映画を観ているというよりもゲーム画面をずっと観させられているという感じでしょうか。映像革命というほどのインパクトはありませんでしたね。
CGとなるとやはりネックになるのが生物の動き。ナヴィの動きはとても人間的ではありますが、やはり人間とは違います。なんていうか、生物独特のゆらぎとでもいうべきムダな動きがありません。六本足の馬の走りでは、かなりのスピードであるにも関わらず足の動きが隅々まで見えてしまう。普通、人間の目で追いきれない動きは残像の繰り返し映像になるはずですが、CGの場合それが起こらない。
3Dの使い方は非常におもしろかったです。3Dというと飛び出す映画というイメージがありますが、この作品ではそれを逆に使っていて、飛び出させるのではなくほとんどが奥行きを出すためにその効果を使っていました。そういう使い方もあるのだなぁと感心しました。しかし、CGは空気を表現することが難しいので、そこにあるはずの空気が感じられず、その奥行き感にも限界がありましたね。
イメージとしては10mぐらいまではなんとかなるけど、それ以上とか、俯瞰するような構図ではその距離が感じられません。もちろん空間遠近法は計算に入っているとは思いますし、そういうふうに作ってはいますが実写映像のそれとは違い、広大さは感じられません。
また、今回非常に残念だったのは、戦闘ヘリや輸送機に重さが感じられないことと、その質感が金属に感じられないことです。CGではもっとも得意とするメカの動きですが、そこに重さを感じられないとリアリティに欠けてしまいます。
この作品が実写映画ではなくCG映画だというのであれば最初からそういう映画だと思って観るので問題ないのですが、実写映画としてそこにその世界があると思わせるためにCGを使うのであれば、現実にそこにあることを感じさせてくれないとつらいですね。ゲーム画面を観せられている感じがするのはそういったところです。映画を見終わった後、パンドラの世界から離れたくなくなるという人がいるようですが、私にはそういうふうには感じられませんでした。
もちろん、その世界観の構築や、クリーチャーの作り込みなどはすばらしいものがありますし、現時点で最高峰の映像の1つであることは間違いないと思います。が、1つとして驚くような映像はなく、スピード感もハラハラ感もいま一つ。技術がここまで達していないこれまでの映画のほうがよっぽど臨場感を感じられた気がします。
ジェームズ・キャメロン監督の作品はいろいろ観てきましたが、『ターミネーター2』ぐらいからだんだん燃えなくなりました。それ以前の作品のほうが技術はないけどおもしろかったし、驚く映像を観させてもらえましたね。
話としては自然に対するメッセージなども含めて決して悪い話ではありません。ジブリ作品にイメージが似ているかも知れませんが、観終わった後に思ったのは、これはアン・マキャフリイの『パーンの竜騎士』ですね。いっそそちらを映画化してもらったほうが私としてはうれしかったなぁ。『アバター』を気に入った方なら絶対『パーンの竜騎士』も気に入ると思います。
→『アバター』の記事を探す
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