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Vol.74 『アルカトラズからの脱出』

アルカトラズからの脱出観賞映画振り返りコラムの24回目は1979年公開の『アルカトラズからの脱出』。丸ノ内東映パラス(現在の丸ノ内TOEI2)で観賞。
いまでこそアカデミー監督としての知名度が高いクリント・イーストウッドですが、この頃は監督作品もありますが、それよりもアクションスターとしての印象のほうが強かったですね。なんといっても『ダーティーハリー』のイーストウッドというイメージから離れられないというか。


1970年代後半は毎年、正月映画となるとイーストウッドの出演作品が公開されるというのが通例になっていて、1980年正月映画として公開されたのがこの『アルカトラズからの脱出』です。脱獄不可能と言われたアルカトラズ刑務所から唯一脱獄したと言われる人物の話を実話に基づいて映画化。そのため、映画はアルカトラズの中でのシーンに終始します。
アル・カポネもここから出ることができなかった、この刑務所からどのように脱獄するか? 囚人なので当然、脱獄に必要な道具などの入手はできないわけですが、そういった問題を一つ一つクリアしていく過程の描写がとてもおもしろい。
現在は観光地となっているアルカトラズ島でのロケにおいて、凶悪な犯罪者たちが収監されている刑務所、その薄暗い刑務所の中の雰囲気を再現するために、余計なBGMや効果音が極力排除されており、全体的なサスペンスタッチのムードを高めています。またイーストウッド自身もノーメイクで撮影に挑むなど、そのリアリティへのこだわりによって、この刑務所から出たい!という主人公の気持ちを観客に伝えてる効果につながってますね。
このような設定・ストーリーのため、当然のことながらアクションシーンはほとんどありません。「イーストウッド=アクション映画」という概念を崩し、アクションなしのイーストウッドという役者の可能性を提示したと考えると、彼の一つのキーとなる作品とも言えると思います。
ちなみに、イーストウッドの映画を劇場で観たのはこれが初めてだったため、声にとても違和感を感じました。テレビで観るときは必ず山田康雄さんが声をあててましたから、どうしてもその声のイメージがあり、本当の声が“合わない”という本末転倒な違和感を感じつつ観た記憶があります(^_^;)
いろいろな意味で、思い込みによる色眼鏡で映画を観てはいけないなと教えられた映画でもあります。
→『アルカトラズからの脱出』の記事を探す
→クリント・イーストウッドの記事を探す


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