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Vol.52 『BALLAD 名もなき恋のうた』

BALLAD 名もなき恋のうた オリジナル・サウンドトラックTOHOシネマズ スカラ座にて『BALLAD 名もなき恋のうた』観賞。今年のラインナップの中でもっとも楽しみにしていた1本。草なぎ剛さんの逮捕騒ぎで上映が危ぶまれましたが、予定通り公開されて何より。
この映画、何を楽しみにしていたかといえば、山崎貴監督がVFXを駆使して時代劇を撮るということです。『ジュブナイル』以降、その時の最新技術を用いてリアリティを追求した映像を提供してくれる山崎監督が時代劇をどのように撮るのかがすごく気になっていました。


実は私は、『ALWAYS 三丁目の夕日』(続編も含む)は劇場では観ていません。昭和30年代を再現した映像を予告で観たときに、リアルなんですが、どこか違和感を感じてしまい、それがぬぐいきれずに映画館へ行けませんでした。なんていったらいいんでしょうか。リアルな映像なのに画面全体が作り物にしか見えなかったというか……どこがどうということではなく、あくまで感覚的なことなのですが……。
たとえば蒸気機関車や路面電車が地についていない感じがしたんですよね。それが持つ重さが感じられなかった。映像としての重厚感はあるのですが、なんか軽いものが走っているように感じるんです。『ジュブナイル』や『リターナー』のころのように、一目でCGとはわからないぐらい技術は進歩しているのですが……。
で、今回の『BALLAD』は時代劇ということなので、当然、いままでの映画以上の技術が必要となります。これまでの山崎監督の映画はSFや現代劇。つまり、CGなどを用いるのは無機質なものが対象となります。しかし今回は、植物や土、あるいは人間などの生物……有機物を表現しないといけません。それも宇宙人などの架空のものではなく、観客の身近にある、あるいはいるもの。これは難度が高いのではないでしょうか。
かの円谷英二監督が特撮について、物はなんとかなるが粒子だけはどうしようもないというようなことを言ったことがあります。どんなに精巧な戦艦のミニチュアを作ったとしても、その縮尺に合わせて水や火、煙の粒子を小さくすることはできないわけです。そうするとミニチュアに対し粒子が大きくなってしまって違和感が出てしまう。これを現代の技術は解決できるのかどうかがとても楽しみでした。
結論から言うと、全編にわたってほぼ違和感のない映像で、いよいよここまできたかという印象を受けました。CGで作り込むだけでなく、様々な映像を組み合わせたり、テクスチャを貼り込んだりしたようですが、すばらしい映像になっていました。ポストプロダクションはかなりたいへんだったのではないでしょうか。強いて言うなら、若干、被写体深度が甘い部分があることぐらいでしょうか。遠い対象のぼかし方、あるいはその対象との間にある空気の厚みの表現がもうちょっとかな?という気はしましたが、ほんとにそれぐらいですね。
内容に関しては、現代からタイムスリップする川上一家の視点、戦国時代を生きた人たちの視点をうまく織り交ぜながら、それでいて生きるということへの思い、身近な人への思いを共通のものとして描いているあたりがよかったですね。当時では許されない姫と家臣の恋。しかし、現代人との交流によって、その想いに変化が生まれていく過程がきちんと描けています。
時代劇というと、現代との価値観の違いという壁があるので、どうしても固い感じになってしまいがちですが、そこに現代人の視点を入れて変化させていくことで、観客も主役たちに共感しやすかったのではないでしょうか。
あと、合戦シーンの迫力もなかなかでしたね。戦う者の真剣さがひしひしと伝わってきました。かっこいい殺陣ではなく、真剣勝負を描こうとしたのではないでしょうか。その分、とてもリアルな戦いのシーンになっていた気がします。
個人的には川上一家の駆るランクルが敵陣に飛び込んでいくシーンがとても気に入りました。『戦国自衛隊』でジープが武田の大軍勢の中に突入していくシーンを思い出しました。
全体を通して、時間を感じさせないおもしろい映画だったと思います。山崎監督の映画って、後からじわじわと、おもしろかったなぁと思うことが多いのですが、本作も同様でした。
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