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Vol.45 『戦場』

戦場観賞映画振り返りコラム14回目は1978年公開のベトナム戦争映画『戦場』。前回観た『ナバロンの嵐』が家族に喜ばれたと調子づいた父親に連れられて、弟と3人で観賞。映画館は丸の内東映パラス(現丸の内TOEI(2))。
この映画の前に観た戦争映画といえば冒険活劇的な第二次大戦ものばかりで、ベトナム戦争の映画はこれが初めてでした。当時はまだベトナム戦争が終わって間もなくであり、映画の題材として扱われることは多少はありましたが、まだまだ少ないころ。ましてや反戦色の強い映画というのは初めてだったので、現実の戦場の悲惨さというものが強く印象に残りました。


ストーリーとしては、ベトナム戦争初期の話で、アメリカ軍がまだ本格参戦しておらず、軍事顧問団という名目で南ベトナムに駐留していた時期に、重要拠点となるベトナムの村を占拠する使命を帯びた兵士たちの物語になります。
第二次大戦のような都市部での戦いではなく、ジャングルの中で行われる戦闘。いつどこからゲリラ戦を仕掛けられるかわからない恐怖。一般市民なのかベトコンなのか区別がつかず、いつ攻撃されるかわからない不安。圧倒的な戦力で攻めてくる敵……。
この後に映像化されたベトナム戦争映画に比べて非常に地味な戦闘シーンでしたし、大軍が攻めてくるといっても映像的にどんと描かれるわけではなく(ほとんどが夜の戦闘シーンだったこともありますが)、今にして思えばスケール感が小さい感じがしますが、当時としてはこれで十分伝わってくるという感じでした。
この後、アメリカ軍が本格参戦し、戦争自体が泥沼化していくわけですが、この映画はその未来を示唆し、アメリカの参戦という選択が本当に正しいことだったのか?という疑問をなげかけます。主人公の「おれは国に帰る」というセリフにすべてを集約し、観る者にその意味を問いかける……その言葉の重さこそ、この映画が語りたかったすべてなのだと思います。
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