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Vol.26 『タワーリング・インフェルノ』

タワーリング・インフェルノ観賞映画振り返りコラムの4回目にしてようやく特撮やアニメ以外の映画が登場。『タワーリング・インフェルノ』。1975年の夏に丸の内ピカデリーか松竹セントラルのどちらかで観たはずなんですが、どちらで観たのか、誰に連れられていったのかも覚えてません。当時流行っていたパニック映画の中でも指折りの名作で、もはや解説の必要はないぐらい有名な作品ですね。
ポール・ニューマン、スティーブ・マックィーンをはじめとする超豪華なキャストで作られた映画ですが、当時、キャストに対する思い入れはそれほどなく、『大脱走』の人が出ているぐらいの認識しかありませんでした。他にもウィリアム・ホールデン、フェイ・ダナウェイ、ロバート・ワグナー、リチャード・チェンバレン、ロバート・ボーン、フレッド・アステアらが出演していたわけですが、キャストの実績を知らずに観て印象的だったのが


フレッド・アステアが演じた詐欺師。主役2人が強烈な個性を発揮する中、こうした、脇を固める人物をきちんと描けていたからこそ、単なるスペクタクルムービーではなく、人間ドラマとしての地位が獲得できたのではないかと思います。
これだけのキャストが登場するにも関わらず、それぞれの人物像がきちんと描けているのもすごい。自分の利益しか考えずに被害を大きくしてしまうもの、自分の保身のために他者を犠牲にしてしまう者、自らを犠牲にしても他者を守る者……パニック映画の基本はこの前に作られた『ポセイドン・アドベンチャー』とこの映画によって確立されたといっても過言ではないでしょう。
当時はCGなどはなく、炎にしてもすべて本物。138階建てのグラスタワーの圧倒的な高さ、ぎりぎりの緊迫感などが真に伝わってくる映像で大迫力。最近の映画を観ると、もっとすごい映像になっていますが、やはり本物の迫力にはかなわないし、こういう映画を観てきてからこそ、CGがわかるだけで冷めてしまうのかも知れません。まあこれだけの映画を今CG抜きで作ろうと思ったら製作費が高すぎてしまうでしょうけど。
この映画の製作費も1社ではまかなえず、同じような企画を進めていたフォックスとワーナーが2本を1本にして映画化したというのは有名な話。そのおかげでポール・ニューマンとスティーブ・マックィーンの共演というのが実現したわけですが、どちらを上にクレジットするかというような問題もあったようですね。ポスターをみると2大スターの顔が並んでいるように見えて、若干ニューマンのほうが上にしてあったりします。
そういえばこのポスターのイラストはすばらしかったですね。この映画のすべてがこの1枚に凝縮されていて、思わず映画を観たくなる迫力を持っていると思います。最近は写真のコラージュポスターが多いですが、昔はこうしたイメージイラストを使ったポスターというのは多かったですね。このイラストに出会って、イラストレーターを目指した私としては、非常に感慨深いイラストだったりします。
『タワーリング・インフェルノ』はそのようなことも含め、いまでも忘れられない映画の1本です。


少年の心を持った反逆児ポール・ニューマン
少年の心を持った反逆児ポール・ニューマン SCREEN

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